医師が太鼓判!新型コロナ対策に、試す価値あり!「鼻うがい」

※2020/10/17に投稿した記事ですが、

2023/1/15に最新の知見を踏まえて校正しました。

 

 

2023年1月になっても、

新型コロナ感染の流行は消退するどころか

第八波に入ったとの報告があり、

まだまだ油断できない状況にあります。

 

新しい生活様式の必要性が

叫ばれていますが、

その中で、あまり触れられていない

ある「感染対策」について

取り上げてみようと思います。

 

それは、、、

「鼻うがい」です!

 

 

①「鼻うがい」とは、そもそもなに?

②「鼻うがい」は、新型コロナ感染対策になるの??

③「鼻うがい」で健康被害?!医師として注意して欲しいポイントとは?

 




①「鼻うがい」とは、そもそもなに?

 

市販のうがい薬を使って、

のどの「うがい」を

習慣にしている方は

多いと思われますが。

合わせて、

「鼻うがい」もやっている、

という方は、それほど

多くないのでは?

と考えます。

 

わたし自身は、

幼少時に、

副鼻腔炎(ふくびくうえん)

いわゆる蓄膿(ちくのう)

という病気に悩まされた

時期がありました。。。

 

 

 

上のイラストで示すとおり、

人間の顔の内部は、

鼻の奥から、喉にかけて、

粘膜に覆われた

鼻腔(びくう)と呼ばれる

空気の通り道があります。

そして、

その更に奥には

副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる

空洞があり、

鼻腔と繋がっています。

 

この場所に、

細菌やウイルスが繁殖し

炎症を起こす事で、

どろどろと汚れた「鼻水」が出るのが

副鼻腔炎という病気です。

 

今では、

抗生物質(こうせいぶっしつ)の

服用で治療する事が一般的ですが、

当時、わたしは病院の耳鼻科で

「副鼻腔洗浄」という

治療を受ける事になりました。

 

医学的に

正確に表現するならば

鼻腔や、副鼻腔を

生理食塩水などで

洗浄する事

 

これを分かりやすく

言い換えたのが、

まさに今回の

「鼻うがい」になる訳です。

 

 

 

膿(うみ)が溜まった、

鼻の奥を、

生理食塩水や薬剤などで

「洗い流す」のは、

確かに有効であろうと

納得いただけるかと思います。

 

余談で恐縮ですが、

大人になってから

「鼻うがい」

という言葉を改めて知ったとき、

痛みのために、

泣きながら受けた当時の

「荒っぽい」治療を思い出し、

その恐怖が蘇りました(笑)

 

わたしが経験した

副鼻腔洗浄は、

以下の通りでした。

 

事前に「麻酔」として、

箸(はし)ぐらいの太さの

金属の棒を鼻の奥まで

ぐいぐいと突っ込まれ、

それが終わると

今度はストローぐらいの

太さのチューブを、

片方の鼻からねじ込まれ、

その中に「生理食塩水」を

思いっきり注入し、

反対側の鼻の穴から

あふれ出させる。。。

そんな治療であった事を

40年近くたった今も

鮮明に思い出せます。

 

※今でも、耳鼻科は苦手です(><)。。。

 

 

しかし今では

ドラッグストアで

手軽に「鼻うがい」グッズを

買える時代が

やってきたわけです。

 

もちろん、

麻酔(ますい)などは

必要ありませんので

ご安心下さい笑

 

では、

「鼻うがい」は

実際にやってみると

どんな感じなのか??

 

使用感や、

使用上の注意、

そして、

皆さんが

大変気になるであろう、

「新型コロナ予防」

グッズとして、

有効なのか?

現役医師、医学博士の視点から

お伝え致します。

 

 

※鼻うがい、について学びましょう!

 

 



 


②「鼻うがい」は、
新型コロナ感染対策になるの??

 

まず、

結論から申し上げますと。

わたしは

「鼻うがい」は

新型コロナ感染予防として

ある程度有効であると

考えています。

 

その一番の理由として、

「鼻うがい」に

新型コロナウイルスが

最初に体内に侵入する部位である

上咽頭(じょういんとう)

を洗浄消毒する

効果が期待できるという

点があげられます。

 

さらに、

上咽頭は、新型コロナに

感染したヒトの体内で、

”もっともウイルス量が多い場所”

※クリックで日本耳鼻咽喉科学会のサイトへリンクします。

であるとされています。

 

 

 

また、

ひろく知られる事になった

「PCR検査」も、

※クリックで日本感染症学会の資料へリンクします。

鼻腔(びくう)、

つまりは鼻の奥から、

上咽頭にかけての

粘膜(ねんまく)

に付着している

「新型コロナウイルス」を

検出するために

行われている訳です。

 

 

日本耳鼻科学会が

一般公開している、

「正しいPCR検査」の動画では、

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の
PCR検査における検体採取方法について(動画)

※クリックで日本耳鼻咽喉科学会のサイトへリンクします。

上咽頭まで綿棒をすすめて

「検体」を採取するようにと

説明されています。

 

今回の記事で、

なんども出てくるこの

「上咽頭」。

あまり聞き慣れない

からだの部位かと

思われますが、

この場所こそが、

新型コロナウイルスの

体内への侵入を防ぐ

最前線なのです!

 

上咽頭の表面には

繊毛上皮(せんもうじょうひ)

と呼ばれる

細胞が分布しており、

ネバネバとした

粘液を出して、

鼻から吸い込む、

空気中のほこりや、ゴミ

細菌やウイルスなどを捕らえます。

こうして

「鼻水」

作られるのです。

 

 

 

また上咽頭には、

外から吸い込んだ

冷たく、乾燥した空気を

保温、加湿するという

大切な働きも備わっています

※クリックで日本耳鼻咽喉科学会のサイトへリンクします。

更に!

上咽頭の粘膜には

身体を守る

免疫細胞:めんえきさいぼう」が

※クリックで学術論文抄録へリンクします。

常に外敵からの侵入に

備えています。

 

※からだを守る、免疫細胞たち!

 

したがいまして。

上咽頭を、

「健康な状態に保つ」

手助けのため、

適切なやり方で、

「鼻うがい」を行う事は、

新型コロナ対策として、

実はとても有意義なのでは?

と思うわけです(2020年10/17時点)。

 

その後2022年8月に、私の予想を裏付ける

大変興味深い研究成果

※クリックで原著論文へリンクします。

発表されました。

この論文によりますと

たとえ新型コロナへの「感染が判明した後」でも

1日2回の鼻洗浄で、

入院や死亡のリスクを

約1/8に減らせる!!と結論付けています。

これを読み、思わず心の中でガッツポーズしました笑!

 

 

今日まで約3年間、

病院でコロナ診療に関わりながらも、

未だ感染せずに元気で過ごせているのも

ほぼ毎日欠かさなかった

「鼻うがい」習慣のおかげであったかと

自信を深めました。

 

ただし、

この「鼻うがい」には、

いくつか

注意すべき点があります。

 

次にこれについて、

最新の研究成果も

ご紹介しながら

説明致します。

 

 




③「鼻うがい」で健康被害?!
医師として注意して欲しいポイントとは?

 

ご自身で、

器具をそろえて、

「鼻うがい」を

やってみても良いですが。

やはり、

ドラッグ・ストアなどにある

「鼻うがい」の

セットをお試し頂くのが

便利かと思います。

 

今は、

実に数多くの種類の

「鼻うがい」製品が

販売されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしもいくつか

試しましたが、

どの商品にも

必ずと言ってよい程、

「痛くない」

の文言が記載されています。

 

この点は、

個人差があると思われますが、

初めてお試しされた際には

薬液が鼻の奥の粘膜を刺激して、

ツンとした感覚に若干の違和感を

覚えるかもしれません。

 

しかし、

「痛くて出来ない。。。」

という事は、

確かになさそうな気がします。

 

 

また商品によっては、

ミントの香りが

プラスされており

「鼻うがい」あとには

とてもスッキリ

爽快感があります。

 

 

 

※細かい点ですが、「洗浄器具付き」と
「洗浄液のみ」の商品の違いには
ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

ただし、これらの製品を使う際には

多少工夫が必要で、

容器の液の残りが少なくなると

ただ空気を押し込む事になってしまうなど、

いろいろ気をつける点も

あるかと思われます。

 

また、

粉末タイプの

「鼻うがい薬」

では、薬剤を

水道に溶かして

使う事になりますが、

一般のご家庭の水道の水を使って

鼻うがいをする際には、

水の衛生状態にも

十分に注意する必要がありそうです。

 

 

 

 

以下の論文では、海外での事例にはなりますが、

鼻洗浄器を使って、鼻うがいをした際に使用した水が

「アメーバー」(バクテリアの一種)に汚染されており、

これが原因で、

脳脊髄炎を発症し死亡した件について、

論文報告しています。。。

*クリックでClinical Infectious Disease のサイトへリンク。

 

ナショナル・ジオグラフィックのサイトでも、

脳を食べる病原性バクテリアが

鼻から侵入という、

センセーショナルな見出しで注意喚起をしています。

*ナショナル・ジオグラフィックのサイトにリンクします。

 

※汚染された水の中の細菌などが、鼻から脳へ侵入し致命的な感染症に。。。

 

 

アメリカにある、感染対策の総本山とも言える

米国疾病管理予防センター

(通称CDC)のサイトでも、

このアメーバが、

飲み水に混入している場合の感染の危険性に

関して警告しています。

*クリックでCDCのサイトにリンクします。

 

日本の水道水は、

基本的に塩素濃度が

しっかりと管理されており

おそらく大丈夫だとは思われますが。

万全を期すなら、鼻うがい用の水は、

煮沸消毒後、冷まして使う

と、より安全と言えそうです。

 

 

 

また、

鼻うがいに使う

洗浄容器も

常に清潔に保つように

心がけて下さい!

 

ここまで、

お付き合い頂きまして、

誠にありがとうございます。

 

「鼻うがい」って

感染対策になりそうだなぁ〜

でもいろいろ

注意も必要なんだなぁ〜

と感じてもらえれば

幸いです。

 



さて最後になりますが、

この「鼻うがい」

に関係した、

大変興味深い、

最新の医学研究報告に

出会いましたので、

是非ご紹介させて下さい。

 

2020 May 26;31(8):107674.
doi: 10.1016/j.celrep.2020.107674.
Lactobacilli Have a Niche in the Human Nose

※クリックで外部サイト(論文紹介)へリンクします。

 

これは、

副鼻腔の感染に、

鼻の中の

「乳酸菌」(にゅうさんきん)が

関与している可能性がある!

という驚くべき報告です。

より詳細には、

「副鼻腔」の感染に

罹った患者さんの

鼻の中には、

健康な人の、

鼻の中に比べて、

「乳酸菌」が少なかった事を

確認したそうです。

 

「乳酸菌」や

「ビフィズス菌」は、

身体にとって

よい働きをする菌である事は

ヨーグルトなどの

健康食品を通して

多くの方が、

よくご存じかと思います。

 

※腸内の「乳酸菌」などの働きについては、

こちらの記事をご参照下さい。

今話題の腸活。自宅で、「腸内フローラ」検査をやってみた!

 

しかし、

鼻の中にも、

身体を守る乳酸菌が

棲み(すみ)着いており、

われわれの

免疫細胞とともに、

ウイルスなどの外敵と

戦っている!!

 

 

 

これは、

個人的には、

とてもワクワクさせられる

新事実と感じています。

 

この分野の

研究がすすみますと、

将来的には、

ウイルス対策に

「乳酸菌鼻スプレー」

といったような製品も

登場してくるのでは?

などと想像し

愉しんでいます。

 

 

しかし、

そうだとすると、

ウイルスと一緒に、

鼻の粘膜を守る

ある種の「乳酸菌」も

洗い流してしまうであろう

「鼻うがい」の

やり過ぎは、

控えた方がよいかも

知れませんね。

 

 

 


まとめ

 

新型コロナウイルス感染対策に、

上咽頭の粘膜の汚れや

付着したウイルスを

洗い流す「鼻うがい」は、

おそらく

感染予防効果や重症化予防効果

があると考えられます。

 

ただし、

「鼻うがい」

のやり過ぎは、

「鼻を守る働きがある菌」

に対しても、

なんらかの影響を

与えそうです。

 

よって

外出先から、

戻った時など、

鼻にたくさんの

「ウイルスが付着している」であろう

タイミングを狙って、

「鼻うがい」を実践すると

より効果的でしょう。

 

そして、

「鼻うがい」に

用いる水の煮沸消毒

(しゃふつしょうどく)や

器具の清潔を保つ事、にも

充分にご配慮下さい!

 

 

※ 「花粉症」対策としての鼻うがいについての記事です。

花粉症対策に、「鼻うがい」効果はあるの?

 

 

 


石川英昭(いしかわひであき)

管理者・石川 英昭


現役医師、医学博士。二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。
ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。

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