子育てにおける、父親のスキンシップ

※今回は、小さなお子さんがいらっしゃる、お父さん方に向けて書いています。

 

 

 

 

普段、お子さん方と、充分に触れあっていますか?

ここで言う、触れあう、とは

抽象的な意味合いではなく、

実際に、

「よしよし」してあげたり、

「なでなで」してあげていますか?

と、肌を触れあわせていますか?という質問になります。

 

今回は、このような

「スキンシップ」が

子供の心身の健やかな成長にとって、

実はとても大切である

という研究成果を報告されていらっしゃる、

臨床心理学の先生の本を紹介し、これについて考察してみたいと思います。

我が家にも、小学生、幼稚園に通う息子達がおり、

なるほど、と思いつつ

とても面白く読了しました。

 

 

 


肌が合う、鳥肌が立つ、など「皮膚感覚」を大切にする日本語

 

子供の「脳」は肌にある

子供の「脳」は肌にある

  • 作者:山口創
  • 出版社:光文社
  • 発売日: 2004年04月20日

 

普段の会話においても、

あの人とは、肌が合う、合わない、という表現がよく使われます。

また、鳥肌が立つ程、興奮する、ぞっとする、などの

言い回しもありますよね。

そして、こうした肌の感覚、皮膚感覚というものは、

身体の内部と外部を隔てるものであり、同時に

自我という心の内部と、外部の境界でもある、という話についても

以下の解説がなされています。

 

精神分析の創始者であるフロイト(1856-1939)は、二十世紀の初頭

すでに、「自我は究極的には身体的な感覚、主として身体の表面に

由来する感覚から生まれてくる」と述べている。

※子どもの「脳」は肌にある より引用。

 

そして、肌で、つまりは「皮膚感覚」で、

うまく他人との距離をとる

そうした感覚の大切さについて、自説を述べられています。

相手の気持ちや、その場の空気を肌で感じながら

自己主張をできるような皮膚感覚が、人間関係の和を保ちながらも

主体的に生きていくためには、不可欠になる。

※子どもの「脳」は肌にある より引用。

確かに一理ありますよね。

では、こうした人間関係における良好なバランス感覚を育むために、

幼少時のスキンシップ、がどのような役割を持つのか?

これについて、考察を進めて行きたいと思います。

 


今、欧米で見直される、江戸時代の「べったり育児」

 

かつての日本では、基本的に親子の間では

「べったり育児」がなされていた、とあります。

 

江戸時代までは

「小児按摩(しょうにあんま)」といって、

赤ん坊へのマッサージも日常的に行われていたようである。

そんな日本の伝統的な育児法も、明治から戦後にかけて

欧米から入ってきた科学的教育法によって非科学的であると

否定されていった。

※子どもの「脳」は肌にある より引用。

 

確かに、インターネットなどで閲覧できる、

江戸時代の庶民の暮らしなどを、

当時に撮影したとされる貴重な写真を見ると、

父親が、だっこや、おんぶをしている画像を

見つける事が出来ます。

それが、当たり前の文化、風習だったのでしょうね。

では、戦後の科学的教育法とはどんなものであったのか?

それは、こちらの本では、

赤ん坊がないても、簡単に抱いてはいけない、放置しておくことで

人間的な自立を促す、という方針であったと、書かれています。

赤ん坊が、泣くのは、ある意味本能でもあり

自立に必要!という親目線の対応は、いかがなものか?と感じますよね。

今では、こうした考えは否定されつつあり、

抱くことで、子どもの心理を安定させる効果がある、という

考え方が主流になってきているようですね。

私も、幼少時期には、しっかりと抱きしめてあげたり

「よしよし」と頭をなでてあげたり、をしてあげる、

そうした触れあいは、

「自分を大切にしてくれる存在がいる」

というメッセージを伝える事にもなり、必要な営みであろう

という立場です。

単に、そうやって可愛がってあげたい、という事もありますが笑。

また、本書では、ひとつ面白い研究結果についても書かれていました。

それは、母親と父親の

子ども達に対する、スキンシップの効果の違い、についてです。

ある大学生の集団に、子ども時代、両親とどのような

スキンシップを受けていたかについて調査したそうです。

母親とのスキンシップが多かった学生は、

「人というのは、信頼できるものだ」という思いを強くするそうです。

母親に温かく受け入れてもらったという記憶が、そうさせるとの分析です。

一方で、

父親とのスキンシップが多かった学生は、

「人と強調して何かをしていく能力」が延ばされる、

つまりは、世の中に目を向ける、社会性が育まれるとの考察がなされていました。

なかなかに、興味深いですよね。

もちろん、親子のスキンシップ以外にも、成長過程での様々な

経験という要因も関与しているであろう点には注意が必要だと

思われます。

ただ、父親である私も、

「よく頑張ったな!」と声をかけながら、頭をなでなでしたり、

「強くなれよ!」と、高く抱きかかえたり、

という、スキンシップを無意識にしている事が多く、

これらによって、

「頑張りを評価してもらった」

「強くなれるんだ」

という、自身の存在に対する、

好ましい自己評価

に繋がってくるのかもしれない。

ふと、そのように思いました。

父親の子育ては、

私にとっても、熱いテーマです。

よければ、こちらもご覧下さい。

 

現役医師による、子育ての本です

 

 


スキンシップの欠乏が、キレる若者を増やすのか?

 

幼少時の虐待や、充分な愛情を受けずに育つ事で、

他人との接し方が分からずに、

ちょっとした出来事があった際に、衝動が抑えられず、

「キレる」

という行為に走ってしまう。

こうした話は、どこかで聞かれた事があるかも知れません。

本書では、こうした攻撃性にも、

スキンシップがある程度関係しているのではないか?

という仮説を、研究結果とともに紹介しています。

また、身体のあらゆる部位へのピアスや、

刺青、リストカットなどの自傷行為も、

子どもの頃の、皮膚感覚への刺激の欠乏からくる、

皮膚の飢餓状態、の関与が示唆される、

との見解を示しています。

確かに、

「キレる」

というのは、感情を抑制し、制御する

脳の「機能不全・発育不全」と言えます。

皮膚は、触る、触られるという双方向性の感覚で

脳への広範囲な刺激になり得ます。

また、温かい、冷たい。

痛い、柔らかい。

なんとなく、触れられているような感じがある。

など、様々な情報を脳に伝えており、

スキンシップが少ない事は、こうした機会を失う事になるという

見方ができるかも知れませんね。

 

そして、優しく触ってあげる事には、安心感をあたえる効果もあるはずです。

例えば、子ども達が熱などで、体調が悪くなっている時、

大丈夫かと、声をかけながら身体をさすってあげる。

それで、身体の強ばりなどを、ほぐしてあげる。

こうした行為こそが、本来、ひとを癒す

「手あて」

の持つ価値なんだろうな、と考えます。

 

「触れる」事が、心を癒す、という事実を裏付ける

研究成果についてもお伝えしておきます。

霊長類では、グルーミング(毛づくろい)というコミュニケーション

があるのは、ご存じかと思われます。

こちらの本では、グルーミングによって、

「快楽ホルモン」として知られるβエンドルフィンが、より

多くでるとの研究結果について書かれています。

βエンドルフィンは、麻薬であるモルヒネと似た作用をもつとされています。

従って、

毛づくろい

はお互い、触り合う事で麻薬のような、快感を得る事が目的と

考えてよさそうです。

興味深いですね。

加えて、もうひとつ。

 


第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界

 

 

2007年の研究皮膚科学会で、精神的ストレスを受けた場合、脳が指令を出し

副腎から放出されるグルココルチコイド(人間の場合、コルチゾール)

を表皮細胞のケラチノサイトが合成し、放出しているという

報告がありました。

さらに皮膚に傷ができるとコルチゾールを合成する酵素が表皮の中で増えるというのです(Tomic CanicSI Dabstract 2007)

つまり精神的なダメージも皮膚のダメージも同じ変化を身体にもたらすのです。

皮膚のケアはこころのケアにつながる可能性が高くなってきました。

 

※第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界 より引用

非常に興味深い 指摘ですね。

皮膚へのダメージが、 脳、つまりは心にも

ダメージを与える事が 科学的にも確からしい

という事ですよね。

虐待で 暴力をうけて 怪我をする。。。

これが トラウマとして 深く心に刻まれる。

そのメカニズムの一端が これではっきりしましたね。

一方で 常に肌を労ってあげる。優しく触れる。

これは 真逆の反応を引き起こす訳ですね。

医療の現場でも

苦痛を訴える患者さんのケアに

この考え方が 活かせそうだな。

そう感じました。

 

たかが スキンシップですが

とても奥が深いですね!

 

これからも、

お父さんとして、

これからの時代を逞しく生きていくための力を育む、

スキンシップの在り方を、考え、実践していきたいです。

お読みいただき、ありがとうございました!