甘くない、「果糖」に関する怖い話。。。

私達は、誰かに「太らされている?」。。。

 

※スーパーに並ぶ、大量の清涼飲料水。。。

 

 

さて今回は、

カリフォルニア大学サンフランシスコ高教授・医師でいらっしゃる

ロバート・H・ラスティング博士による

「果糖中毒」

という大変勉強になる本をご紹介しながら、

普段当たり前に口にしている

「果糖」

の健康被害について、考えてみることに致します。

 

果糖中毒

果糖中毒

  • 作者:ロバート・H・ラスティグ/中里 京子
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018年09月14日

 

 

太り過ぎ、肥満が、多くの病気の原因になっている事には、もはや

疑問の余地はありません。

2型糖尿病、高血圧、心臓血管疾患(心筋梗塞)、脂肪肝などなど。

そして、他の合併症として睡眠時無呼吸症候群や、うつ病の発生リスクも知られており

健康寿命を脅かす

重大な脅威である事は論を待ちません。

本書では、

肥満がアメリカの問題だけならまだしもこれは世界中で起きている問題だ。

世界保険機構(WHO)は、過去28年間に、世界の肥満人口が2倍になった

と発表している。

〜中略〜

2011年9月、国連総会は、いまや非感染性疾患(糖尿病、がん、心臓病)は、

発展途上国を含めた世界の健康にとって、感染性疾患より大きな脅威であると宣言した。

 

「果糖中毒」第一章より引用です。

と記述されています。

そして、これらの原因として、我々の食生活における問題として

以前より口にする量が明らかに増えている糖分のなかでも特に、

「果糖」

を中心に、依存性(中毒)や過剰摂取による危険性について、

肥満の世界的流行という視点から、実に科学的で、説得力ある考察がなされています。

というわけで。

この本の内容について、私なりに解説を加えながら、

みなさんが、毎日の生活で、「果糖」を摂りすぎないようにするために

気をつけて欲しい事も、お伝えしていきます。

 



 

 

 

 


「肥満」は自己責任ではない?!我々は「誰か」に太らされている。。。

 

では、そもそも、「果糖」とはなんでしょうか?

文字通り、果物に含まれる甘み成分で、化学名はフルクトース (fructose)です。

その甘さは、天然に存在する当分として最も、

「甘く」、砂糖を凌ぐ!とされています。

この果糖が、体内でどのように代謝されて、どのような健康被害を惹起するのか?

これについては、後述致しますが、その前に本書では、

「肥満は自己責任」とは限らないのでは?という立場について根拠を示しながら

持論が述べられています。

確かに、”肥満”とは、食事に対する意識が低く、甘い物を好き勝手取り続けた結果、

つまりは。

「自業自得」

というように考える方もいらっしゃるかと思います。

しかし本書の第3章では、本当にそうなの?と批判的に考える姿勢の

大切さを伝えてくれています。

今回の記事では、すべてを紹介する事は致しませんが、

以下、個人的になるほどな、と思った反論をあげてみたいと思います。

 

まずは、

生後1歳の子どもでも、すでに肥満による高血圧や、コレステロール値が

高い例が確認されている事。

確かに、この年齢では食事に対する選択肢は非常に少なく、また摂食行動に

責任がある、とは到底いえませんよね。

となりますと、ある種の離乳食などに、なんらかの原因があるのでしょうか??

 

そしてもう一点。

世界中の飼育動物たちも、この20年で太り始めている、という事実です。

人工の飼料を食べている動物たちにも肥満の兆候が確認されている。。。

これはとても興味深い指摘だと思われます。

彼らには、食料の選択の自由はないわけですから、飼料に含まれる

なんらかの環境的な因子が、体重増加につながっている、という

考察は成り立つと考えられます。以下、参考文献です。

 

Proc Biol Sci 2011 Jun 7;278(1712):1626-32. doi: 10.1098/rspb.2010.1890. Epub 2010 Nov 24.

Canaries in the coal mine: a cross-species analysis of the plurality of obesity epidemics.

Klimentidis YC1, Beasley TM, Lin HY, Murati G, Glass GE, Guyton M, Newton W, Jorgensen M, Heymsfield SB, Kemnitz J, Fairbanks L, Allison DB.

 

※論文全文閲覧出来るサイト・ページへリンクします。

 

※飼育動物たちまでも、肥満傾向。。。

 

では、次に

「果糖」が身体の中で、どのような反応を引き起こすのか?

なぜ「果糖」の依存症といった状態に陥ってしまうのか?

これについてお話していきます。

 



 

 


「果糖中毒」は、どうして起こるのか?

 

◎体内で起こる、メイラード反応とは?

最近の研究で、老化現象は、身体の「糖化」である事がわかってきています。

糖化とは、血液中に存在する過剰な糖がタンパク質や、脂質と結合して

AGE(糖化最終生成物)と呼ばれる、老化促進物質を作り出す現象として知られています。

これを発見した科学者、メイラード氏 にちなんで

「メイラード反応」とも呼ばれています。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E5%8F%8D%E5%BF%9C

※メイラード反応のウィキペディア(Wikipedia)のサイトへリンクします。

 

これは、褐色反応という別名もあります。

ホットケーキを焼いていくうちに、表面が褐色に変化していきますよね。

 

※美味しそうな焼き具合は、実は”糖化”した結果でもあります。。。

 

 

あれも、糖分×タンパク質や脂肪分の反応、メイラード反応と言えます。

そして、大変困った事に

「果糖」はブドウ糖に比較して、メイラード反応を

7倍!の速さで発生させるという報告があります。。。

 

Am J Clin Nutr. 1993 Nov;58(5 Suppl):779S-787S. doi: 10.1093/ajcn/58.5.779S.

Protein fructosylation: fructose and the Maillard reaction.

Dills WL Jr1.

 

※pubmedのサイトへリンクします。

 

つまり、

「果糖」は、こうした研究の結果からも

メタボリック症候群の原因となるだけではなく

体内の細胞をより早く老化させ、がん、や認知機能の低下

などを引き起こす原因となっている事が示唆されているわけです。。。

 

これだけでも、果糖の恐ろしさが分かってきたかと思われますが、

更に、「果糖中毒」という深刻な状況に陥る事についての言及もありました。

つまりは、

脳に、もっと必要だ、もっと食べないといけないという信号が

送られるという事です。

なぜ、そうなるのか?

これには果糖の生体内での代謝について、もう少し詳しく知っておく必要があります。

果糖は、「インスリン抵抗性」と深く関わっています。

インスリン、はご存知の方も多いと思われますが、我々の身体において

唯一、

「血糖値を正常に保つ」ホルモンです。

これに対して抵抗性がある、という状態は、血糖値をさげる手段がなくなる訳です。

結果的に、糖尿病が引き起こされるとともに、こうした状態は、

脳が空腹シグナル(食事をとりなさい、という信号)

と満腹シグナル(食事を辞めなさい、という信号)をうまく感知できない、

という問題を抱える事になってしまうとされています。。。

このあたりの詳細な理解のためには、さまざまなホルモンの名前や脳の部位の名前も出てきて

難しい印象を与えるかと思いますので

ごく簡単な説明にとどめておきますが、

果糖の過剰摂取こそが、最初のきっかけとなり、

脳が満腹感を感じられなくなるという状態に陥り、

食べすぎて肥満になる、という悪循環がある事は是非知っておいて欲しいと思います。

 



 

 

 


コーヒーに「ガムシロップ」はなぜ?果糖ブドウ糖液糖という表示にご用心!

 

果糖の摂りすぎは、健康寿命を縮める!

これに関しては、おおよそ、皆さんも同意いただけるかと思っています。

では、実際にはどうしていくと良いか?

 

特に、ご紹介した本でも強調されている通り、

「甘い飲み物」を一切辞める!

「隠された糖分」に注意する必要があると言えます。

 

まずは、甘い飲み物。

炭酸飲料が、その代表と言えます。

 

※着色料、人工甘味料、保存料。。。どれも健康寿命を損ないます!

 

そして意外に思われるかも知れませんが、

製品化された「果物ジュース」も、アウトです!

これには、保存料や香料などの添加物が加えれれているだけではなく、

製造工程で、果物が含む大切なビタミンや食物繊維が破壊されてしまっているからです。

そして、同じような理由で、

「ドライ・フルーツ」も避けるべきかと思われます。

果物を乾燥させる事で、糖度が増す事が判明していますので、

やはり果物は、生で食べる、自身で絞ってジュースとして飲むという事を

心がけて頂きたいです。

 

そして隠れた糖質として多くの清涼飲料水の含まれている

果糖ブドウ糖液糖

について、お伝えしておきます。

これらは、自然界には存在せず、人類が人工的に作り出した

「甘み成分」です。

従いまして、身体に与える影響は未知数という事になります。

なかでも「ガムシロップ」は、低温では砂糖よりも、甘みを強く感じる事ができるという

性質があるため、

「アイスコーヒー」のお供として、一般的に出回っていると考えられます。。。

これをお読み頂いた今からは、「果糖」の摂取という観点から、

是非とも慎重になって欲しいと思います。

 

問題は、我々消費者が、こうした成分表示に関する知識を持たず、

また教育も一切受けずに、無批判、無思考でこうした

「甘い」製品を日々摂っているという事実です。

これからを担う子どもたち、若い人たちも、そうとは知らず、

大量の人工甘味料に親しんでいまっているように思われます。

 

ご紹介した本に書かれていますとおり、

私達は

誰かに太らされているかも知れない・・・」わけです。

 

幸い、今の所は正確な知識を得る事で、正しい選択ができる余地は残されています。

ひとりひとりが、賢い消費者となり

「健康寿命」を大切に考えて欲しい。

そう願っています。

 

※身の回りにある、「果糖」の誘惑に、くれぐれもご用心!

今回もお読み頂き、ありがとうございました!