健康寿命に効く!
口まわりのトレーニング。
今回は、”口まわりの健康”を保つことが、
健康寿命にとっても、いかに大切か、
についてお伝えするとともに、
口の健康を増進するための、
楽しく出来る、
トレーニングもご紹介したいと思います。
舌を鍛える事が、口の健康を守る事に繋がります!
様々な健康被害を引き起こす、口呼吸。。。
まずは、口呼吸、の問題について。
口呼吸は、慢性的な鼻詰まりや、幼少時からの、クセで
常に口で、
息を吸ったり、
吐いたり、してしまっている状態を指します。
そして、意外かも知れませんが、
舌が正しい位置におかれていない、
という事も原因と指摘されています。
基本的に、舌は、
なにもしていないとき(つまりは呼吸しているとき)、
あるいは、なにかを飲み込もうとするとき、
上あごに、舌の根元からぴったり付着しているのが、
「正しい位置」
とされているようです。
では、早速みなさんも、今自分の口の中で、
舌がどこにあるか?
確認してみて下さい。
どうでしたか?
確かに、舌が正しい位置にあると、
口で呼吸するのは、難しくなると
感じますね。
そして
鼻詰まりが一向に治らないため、
口呼吸になってしまっている方は、
やはり一度耳鼻科にて相談される事をお勧めいたします。
ここからは、
口呼吸をするために、
つまりは、舌をただしい位置に保つためには、
どうすればよいか?
なにか方法があるのか?
について、お話をすすめていきます。
その前に、
医学的に、なぜ口呼吸ではなく、
鼻呼吸が望ましいのか。
簡単にご説明いたします。
●鼻呼吸が大切な理由
1.吸い込む空気の加湿
特に寒い時期、口呼吸ですと、乾燥した空気をそのまま
気道から、肺に送り込むことになります。
ヒトの身体は、咽頭(のどの奥)から
気道(気管支)にかけて
繊毛や粘膜によって覆われています。
これらは、大気中のホコリや、細菌、ウイルス、
などを捕らえて、咳や痰(たん)という形で、
からだの外に排出するために、重要な役割を
果たしています。
そして、その性質として、
寒冷と、乾燥にとても弱いとされています。
従いまして、
鼻呼吸で、十分に加湿された空気を吸い込む事が、
繊毛や粘膜の働きを正常に保つ事に必須であり、
インフルエンザや、花粉症の予防として、
きわめて重要になるわけです。
2. 「鼻毛」という、ホコリのフィルター
先の粘膜や、繊毛の働きはもちろんですが、
鼻毛それ自体にも、吸い込む空気中のホコリや、
細菌、ウイルスを補足する機能が備わっています。
肺に到達するまでに、鼻を通過する事で、
空気が正常化されるわけですね。
3. 「加温」された空気を肺に届ける。
冷えた空気が、そのまま肺に到達することは、
体温の低下につながるリスクがあると言えます。
身体が冷えることで、免疫力が低下することは、
よく知られているため、細菌・ウイルスの感染予防として、
暖められた空気を、身体に取り込む必要があります。
新鮮な空気を、鼻からいっぱい吸い込みましょう。
続いて、口呼吸による不利益について列挙します。
1.歯並びが悪くなる。
2.口の中が乾燥し、虫歯になりやすくなる(唾液、には殺菌効果があります)。
3.乾燥した冷たい空気が、直接、肺に到達する(感染、のリスクが高まる)。
4.口呼吸で、舌が軟口蓋(のどの奥)に落ち込みやすくなり
空気の通りが悪くなり、「いびき」が発生する。
※いびき、がひどい場合には、睡眠時無呼吸症候群という
病気を合併している可能性もあります。
ともに就寝している方から指摘がある場合には、
一度耳鼻科診察を受けて下さい。
5.脳が慢性疲労状態になり、認知症のリスクが高まる!
Neuroreport. 2013 Dec 4;24(17):935-40. doi: 10.1097/WNR.0000000000000008.Increased oxygen load in the prefrontal cortex from mouth breathing: a vector-based near-infrared spectroscopy study.
Sano M1, Sano S, Oka N, Yoshino K, Kato T.
これは、医学的にとても重要な指摘と考えます。
やや専門的になりますが、この研究では
口呼吸は、
前頭前野の酸素消費量を増やす、との解析結果を報告しています。
ヒトの前頭前野は、論理的思考や創造性、といった
理性を司るとても重要な脳の部位として
知られています。
口呼吸によって
この部位が酸素を大量に消費することにつながり、
やがては、酸欠状態に陥り、
機能が損なわれてしまう。。。
怒りや、恐怖を生み出す側頭葉(あたまの両端の部位)
の作用の活性を抑えている前頭前野の機能が
低下すると、
キレやすくなったり。。。
不可解な行動をとったり。。。
いわゆる、
「認知症」に陥ってしまうリスクが高まるわけですね。
たかが、呼吸の仕方、と思いきや、
恐ろしい指摘ですよね。
では、口呼吸かも、、、と気になる方に、
鼻呼吸に変えていくために
毎日できる、
「舌の筋トレ」
を紹介していく事にします。
舌も、鍛えるべき筋肉です!
口呼吸から、鼻呼吸に戻すためのトレーニング
では、
そもそもなぜ、
舌の位置が正しくなくなってしまうのか?
という点が気になりますよね。
これは、口のまわり、特に舌の筋肉が
衰えてしまっていることが原因と言えます。
普段はあまり意識しないと思われますが、
舌の筋力は、食べ物の咀嚼や、
むせずに飲み込むために
とても大切な部位です。
そして。
口の筋力低下は、老化の指標!、早死にのリスク?!
という事に関して研究した論文の報告もあります。
J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2018 Nov 10;73(12):1661-1667. doi: 10.1093/gerona/glx225.Oral Frailty as a Risk Factor for Physical Frailty and Mortality in Community-Dwelling Elderly.
Tanaka T1,2, Takahashi K1, Hirano H3, Kikutani T4, Watanabe Y3, Ohara Y5, Furuya H4, Tetsuo T1, Akishita M2, Iijima K1.
老年医療や、歯科口腔衛生の医療現場では、
ご高齢の方に対して
食べ物を、飲み込む力が維持されているか?
について
舌の力、を
舌圧(ぜつあつ)として測定、評価し、
誤嚥(食べ物が誤って、のどから気道にはいる現象)の
リスクをチェックすることが推奨されているようです。
http://www.peg.or.jp/lecture/product/jms-zetsu/index.html
※JMS 舌圧測定器のサイトへリンクします。
食べこぼし、や飲み込んだ際に、
むせ、が多い事は、
舌の力が弱っていると解釈できるわけですね。
まだまだ、そんな年じゃないから、
大丈夫、と思いたいところですが。
出来ることなら、誤嚥しないよう
「予防」していきたいですよね。
個人的には
道具を使わない、お手軽な
舌トレ
として、あいうべ体操と早口言葉が
おススメかと考えます。
あいうべ体操
免疫を高めて病気を治す口の体操「あいうべ」 今井一彰氏(著)
を参考に説明いたします。
- 作者:今井一彰
- 出版社:マキノ出版
- 発売日: 2008年02月
①のどの奥が見えるくらい口を大きく開いて「あー」と声を出す
口を全開にして、あー!!
②前歯が見え、頰の筋肉が両耳に寄るくらい口を大きく横に開き「いー」と声を出す
歯が見えるぐらいに、口を横にひろげて、いー!
③唇をとがらせ、前方に突き出すようにして「うー」と声を出す
(口を一文字に結ぶだけでは大きな効果が得られない)
唇をまえに突き出して、うー!
④思いきり舌を出して「べー」と声を出す
(あごを大きく開くのが難しい場合は、舌を上下左右に運動させてもOK)
これでもか!というぐらい、舌をしっかり出して、べー!!
これを、10回繰り返すトレーニングを、一セットとして、
一日3セット(朝・昼・晩?ですかね)
が推奨されています!
思い切りやるには、まわりにあまり
人がいないところ笑、
がよさそうですね。
そして、
早口言葉
アナウンサーの滑舌のトレーニングに
使われているというのは知っていましたが、
確かに舌を鍛えるには、
とても有効と思われます。
また誰かに聞いてもらう事で、
うまく言えない場合や、噛んでしまった場合、
必ず笑いが生まれます。
そういうコミュニケーションとしても、
面白そうですね。
電話代行をサービスとする、ある会社のサイトが、
仕事における「スキル・アップ」として
早口言葉のリストをあげているのが、
トレーニングとして使えそうです。
また、難易度別になっていましたので、
以下そのまま引用させて頂きました。
初級編
・生麦生米生卵
・赤パジャマ黄パジャマ茶パジャマ
・隣の客はよく柿食う客だ
・坊主がびょうぶに上手に坊主の絵を書いた
・東京特許許可局
・バスガス爆発
・マサチューセッツ州
・骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
・きゃりーぱみゅぱみゅ
中級編
青巻紙赤巻紙黄巻紙
・赤液キャベ、青液キャベ、黄液キャベ
・赤蒲鉾、黄蒲鉾、茶蒲鉾(かまぼこ)
・この釘はひきぬきにくい釘だ
・庭には二羽鶏 裏庭にも二羽鶏
・かえるぴょこぴょこ三(み)ぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ六(む)ぴょこぴょこ
・どじょうにょろにょろ三(み)にょろにょろ あわせてにょろにょろ六(む)にょろにょろ
・スモモも桃も桃のうち スモモも桃ももう売れた
・魔術師手術中
・魔術師魔術修業中
・腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)
・老若男女
・除雪車除雪作業中
・ジャズシャンソン歌手
・第一著者 第二著者 第三著者
・骨粗鬆症訴訟勝訴
上級編
新進シャンソン歌手総出演新春シャンソンショー
・親亀子亀子孫亀 親鴨子鴨子孫鴨
・肩固かったから買った肩叩き機肩叩きにくかった
・この竹垣に竹立てかけたのは竹立てかけたかったから竹立てかけた
・服作る夫婦 靴作る夫婦 古服売る夫婦 古靴売る夫婦
・魔術師手術中、手術中集中術著述(ちょじゅつ)
・空虚な九州空港の究極高級航空機
・東京特許許可局長今日急遽休暇許可拒否
・客が柿食や飛脚が柿食う飛脚が柿食や客も柿食う 客も飛脚もよく柿食う客飛脚
※こちらのサイトから引用しています。
さすがに、上級編は、厳しいですね笑。。。
これがスラスラ言えるようになれば、
舌トレ・マスター
と名乗ってよさそうですね!
是非、大きな声を出しながら、誰かとやってみましょう。
宴会などのネタとしても
きっと盛り上がることでしょう。
まとめ
口呼吸は、万病のもと。。。
舌を鍛えて、鼻呼吸を意識しましょう!
ひとりで、
あ・い・う・べ。
みんなで、
レッツ、早口言葉!
かえるぴょこぴょこ三(み)ぴょこぴょこ
あわせてぴょこぴょこ六(む)ぴょこぴょこ!!
◎お口の健康、については、以下の記事も合わせてご覧下さい。
現役医師、医学博士。二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。 ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。