日本のみならず、世界中で
「新しい薬」
が病気に悩む方々に届けられるためには
実際に、
人に対して投与し、その効果と安全性が
検証させる必要性があります。
※治験ってなに?に、現役医師としてお答えします。
これを
治験、と呼び
製薬会社さんから病院などの
医療機関へ依頼があり
医師やその他治験に携わるスタッフが
協力して
治験を推進していく事になります。
薬事法その他の法令を遵守する形で
治験は実施されますが、
やはり参加される
患者さんにとっては、
頻回の血液検査であったり、
思いもよらない副作用に見舞われるリスク
など、さまざまな
肉体的、心理的な負担を強いると
考えらえるため、
この点には十分な配慮がなされる必要がある。
そのように思っています。
しかし、インターネットで
「治験」
と検索しますと、
「治験バイトで高額をゲット!」
「治験で稼げた」
など、射幸心を煽るような
サイトが数多く見受けられます。。。
医療機関で
安全性に対して細心の注意を
払ってもらいながら受ける
治験ではありますが、
日常生活の制限や
未承認の薬を飲む事による
身体への影響は無視できず、
現役医師としては
報酬目当て、
での参加には慎重に
なって頂きたいと
考えています。。。
※スマホで、簡単に「治験バイト」が探せてしまいます。。。
もちろんなかには、
同じ病気に苦しむ人たちのために、という
社会貢献の意識をもって
個人の
「治験体験談」
という貴重な情報を提供しようと
されている方々もいらっしゃいます。
私も、今現在
ある病院で、新薬の
「治験」を
担当させてもらっています。
そんな事情もあり
治験について思うこと。
治験の未来。
について、徒然なる(つれづれ)ままに
書いてみたいと思います。
現役医師として、「治験バイト」の実態について思うこと。
一冊の本を紹介しながら
治験
について考えていく事にします。
職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々
著者は、この本で
「治験」
を職業と捉え
実に様々な治験に参加して、
合計して多額な報酬を得たという
体験記を公開しています。
しかも、日本だけではなく
海外の治験!にも
実際に参加された経験もおありで
正直「そこまでやるか・・・」
と感心させれました。
確かに、
日本人を対象にしたデータが
欲しい、
製品開発に際して
そう考える製薬会社は
間違いなく存在するでしょう。
みなさんも、
「治験、海外」で検索していただくと
交通費+謝礼金とともに、
いくつかの
「案件」に
容易に到達する事が可能です。。。
こちらの本では、
治験に参加しすぎて、
腕に採血の跡がはっきりと残り
「覚せい剤中毒者」
のようになってしまった、など
身体を傷つけてしまっている事に
ついてもしっかり記述されていました。
自分以外の誰かに、
同じような
職業治験
をススメているわけではなく
そういった意味では
良心的とも思われます。
※頻繁に採血されるなど、身体への負担もあります。
最初にも書きましたが、
治験に用いる薬の
「副作用」については、
完全には予想できない部分がある事を
是非知っておいて頂きたいと思います。
特に、他にも持病があって
なんらかの薬を定期的に
飲まれているような方ですと、
その薬と
治験薬が
どのような相互作用を引き起こすのか?
これについては
更に要注意と言えます。
そもそも、そういうデータを
集めて規格や服用の回数を
決めるための試験を
治験、
と呼ぶわけです。
実際に、私の担当していた方も
ある時の採血で
「異常値」
を認めましたので、
いろいろ聞いて調べていくなかで、
他のクリニックさんで
臨時で処方された薬との
相互作用?
を疑う事例がありました。
幸い、治験を中断し
慎重に経過観察させてもらい
重大な健康被害を
被ることなく過ごされ
安堵しました。
しかし、
私のもとにも
治験中の方が
時には重症な病気を合併し
死亡した例についての
報告も届いています。
新しい薬が、
医療の現場にもたらされて
恩恵にあずかる
患者さんがいるであろう事も
事実です。
そういう意味において
治験
はとても大切で
意義のある活動であり、
これに参加させる患者さんにも
「私でお役にたてれば」
という志の方も、いらっしゃいます。
従いまして、
治験に参加させる際には、
信頼できる医療機関で、
しっかり説明してくれて、
サポートしてくれる
医師や治験スタッフがいる環境にて
以上のリスクも十分に
承知いただいて
ご参加をお決めいただきたい。
そのように思っています。
「バーチャル治験」という新しい試み
患者さんの、
治験参加への負担を
減らす取り組みとして
「バーチャル臨床試験」
なる興味深い記事を
見つけました。
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/14163/
※AnswersNewsのサイトへリンクします。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4227468010032019TJC000/
※日本経済新聞のサイトへリンクします。
最近では、
スマート・フォンで
心電図のデータが得られるなど
ウエアラブル・デバイスで
個人の
「健康関連情報」
が入手できる環境が
整ってきていますよね。
こうした記述が更に進化する事で
治験に参加している患者さんの
リアル・タイムの
生体データが入手できるようになる。
確かに、これは非常に
重要な観点であると言えます。
つまりは。
治験中に、
ある症状が、
どの時間帯?
どれぐらいの時間継続したか?
その時の体温は?
血圧、脈拍は?
痛みなども、数値化して入力する
事で、より定量的な評価が
可能になると言えます。
また通院して、
採血を受けたり、
診察のために待ったり、
そういう時間が省略できるという
利点もありそうです。
ただし、ある意味
究極の個人情報と言える
「生体データ」
を制約企業が管理する事についての
法的な規制の枠組み。
情報の漏洩についての
厳格な対策。
おそらく、
協議はされているはずですが
気になる点ですね。。。
※スマホ、で治験に参加できる時代が到来します。
そして、これが更に進化した
サービスとして、
「スマホ・アプリ」
を健康維持のための
意識、行動改善に
活用しよう、
といった
動きも見られつつある事は
現役医師として
とても
興味深いと思っています。
「治療・アプリ」が個人の健康長寿に寄与する可能性。
医師が
代表取締役をお務めに
なられている会社では、
いくつかの
「治療アプリ」
が紹介されています。
※株式会社キュア・アップのサイトにリンクします。
これらのアプリは、
開発後、
医療現場での
介入試験を実施して、
その後、
アプリによる
治験を実施している
とされています。
おそらく、この期間に
アプリを通して得られた
貴重な個人の生体データや
医療者が介入した事による
その後の行動変容、などに
基づいて、
なんらかの
「治療法」
を提供してくれる製品なのだろう
と思われます。
慢性の病気で
通院中の患者さんに対して
その通院の合間にも、
スマホ・アプリで
自己の健康状態をチェックできたり、
主治医から
なんらかのフィード・バックを受けたり。
これは、とても有意義でしょうね。
先に書きました
「バーチャル治験」
は、製薬企業にとっては
新薬の開発に活かせるであろうし、
その一方で
そこでリアルタイムに
得られるデータを
もとに、治験参加中の患者さんに
医師などから
症状によっては、
すぐに診察に来て下さい、
などのメッセージを
受け取る事が出来る。
つまりは
患者さんにとって、
メリットも大きいように
感じられます。
以前NHKの番組で
「医療ビックデータ 患者救う大革命」
なる企画があり
大変おもしろく拝見しました。
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20141102
※NHKスペシャル、のサイトにリンクします。
こちらでは、喘息発作に
苦しむ患者さんが、
あるデバイスを24時間装着し
いつ、どこで
「発作」が起きるのかを
リアルタイムに測定し、
発作の原因となるアレルゲンを
特定する、という研究が紹介されていました。
おそらく遠くない将来、
こういうデバイスは、
スマート・ウォッチのように
手軽に身につけられるモノに
置き換わり、
直接そこから
例えば
「そのエリアでは、喘息発作が起きやすい!」
などの
警報が表示されたり。
「血圧が高いです。ストレス値が高いです」
などものメッセージが
リアルタイムに届けられるように
なるでしょうね。
※スマート・ウオッチで健康や疾病管理が当たり前の未来に。。。
膨大な生体データという
ビックデータを
医学文献も含めて
人工知能が瞬時に解析し、
最適な対応、
ひいては治療について
個人に伝える。
そんな未来に、
果たして
「お医者さん」
の果たす役割はなんだろうな?
などと、想像する
今日このごろです。
最後までお読み頂きまして
ありがとうございました!
「治験」は
時に重大な健康被害を受ける
リスクがありえます。
個人的な事情によって
「治験バイト」
に参加させる際には、
くれぐれもこの点を
お忘れなきように!
現役医師、二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。 ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。