痛風だけじゃない、「尿酸値が高い」は命に関わります!

本当は恐ろしい

「尿酸値が高い状態」について是非知っておいて下さい!

 

 

生活習慣病、という

言葉はすでに世間一般に

よく知られていると

思われます。

 

高血圧や糖尿病、などが

その代表と言えますね。

今回は、

生活習慣病

に分類されながら、

やや認知が低いかも知れない

「高尿酸血症;こうにょうさんけっしょう」

つまりは血液検査で

「尿酸値が高い」

という事について

記事を書くことにしました。

 

ビールに含まれる、尿酸値の上昇につながるプリン体にご用心。

 

 

その理由として

最近、医学の専門誌にて

「高尿酸血症」

について、新しく、同時に

極めて重大な事実が

報告されている

背景があります。

 

健康寿命にとって

実は大いなる脅威である

「高尿酸血症」

について。

いつもどおり、

最新の研究をふまえて

お話していきます。




「痛風」だけじゃない、心血管死亡!を引き起こす「高尿酸血症」

 

痛風(つうふう)

という病気は

ご存じでしょうか?

古代ローマの時代から

この病気に悩んでいた人達が

多かったとされています。

一説には、

風が患部に吹き付けた

それだけでも

痛むから

「痛風」

と呼ぶとされています。

 

※足の付け根が、こんなふうに腫れて痛むようなら痛風を疑って下さい!

 

原因は

体内において過剰な

「尿酸」

が関節などに蓄積する

病態と判明しています。

日本には、

明治時代以前には

あまり見られなかった

病気らしく、

食事の西洋化

つまりは、

高カロリー、飲酒、運動不足、肥満

などが、

尿酸値上昇の

誘因と考えられています。

 

※食生活の西洋化と、通風には関係がある?!

 



 

今回、日本において

全国特定健診受診者データベース

を用いて

「生活習慣病」

が生命予後

つまりは、

「寿命」

にどのような影響を与えるのか?

これについて大規模な研究の

成果が発表されました。

 

研究方法としては、

健診を受けた方11万9688名、

平均年齢63歳を対象に、

2008年から5年間の期間、

どういう病気で亡くなったのか?

男女による違いは認めたのか?

これらについて解析した

研究になります。

 

これだけ、多くの人数を対象に

している研究は珍しく、

注目に値します。

 

結果はどうだったのか?。。。

 

簡略化した説明に

なりますが、

死因としてもっとも

関与の度合いが強かった

順位として、

禁煙>高血圧>糖尿病>高尿酸血症(7mg/dl)以上

でしたが、

心血管系死亡(心筋梗塞など)

の原因としては

高血圧>喫煙>糖尿病(6.9%)>高尿酸血症(6.6%)

と、糖尿病と高尿酸血症では

ほとんど差を認めない結果でした。

 

更に。

男女別の検討では、

男性における

心血管死亡に関与した

程度としては

高血圧>喫煙>高尿酸血症(14.3%)>糖尿病(9.8%)

と糖尿病を上回る!

結果であったそうです。

※高尿酸血症で、心血管疾患による突然死もありえます。。。

 

※ Medical Tribune Vol.52 の記事を参照しています。

 




高齢化、と肥満で今後ますます増える「痛風」。。。

 

更に、

今、日本では

毎年、高尿酸血症が原因の

痛風

に罹患する患者さんが

増え続けている

とされています。

そして

特にその傾向は

成人男子に多い!

というデータも得られています。。。

「痛風」

の発生は、

血清尿酸値×持続時間である

との考え方があります。

従って、より長生きする事、

平均寿命が延びれば

(健康寿命は延びなくても。。。)

言い換えれば、高齢化する

今の日本の社会では

痛風患者さんは増え続ける、

そう予想できますね。

 

更にもうひとつ。

「肥満」

も痛風の発生に関係している、

との研究報告もあります。

 

2018 Oct 5:1-5. doi: 10.1080/14397595.2018.1519149. [Epub ahead of print]

Increasing trend of asymptomatic hyperuricemia under treatment with urate-lowering drugs in Japan.

 

尿酸値が高いことが、

健康寿命に重大な影響を及ぼす!

お分かりいただけた事と思います。

となると。

なにを、どう気をつけるの?

薬を飲まなきゃいけないの?

が気になりますよね。

 

最後に、この疑問に対して

回答しておきます。

 




食事で予防出来ない?!高尿酸治療は医師に相談を

 

一般的に。

プリン体を過剰に

摂取することが、

「高尿酸血症」、「痛風」

の予防に重要とされています。

 

より具体的には、

「1日に400mgのプリン体の摂取制限」

が推奨されています。

※高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン より。

なお、

このガイドラインは、このたび

2010年以来、実に8年ぶりに

改訂版が発行された事が、

医学界では注目の話題のひとつです。

ちょうど、

こちらで紹介した、

尿酸が高いことは、心血管疾患のリスク

というトピックスが

書かれているようです。

 

https://www.tukaku.jp/guideline/2100.html

※一般社団法人日本痛風・核酸代謝学会のサイトにリンクします。

 

プリン体を多く含む食品は、

レバー類(210~320mg/100g)、

白子(300mg/100g)、

エビ、イワシ、カツオ(210~270mg/100g)

などとされています。

ビールや発泡酒は、

一缶あたりのプリン体は

多くないようですが、

連日とり続けた場合、

尿酸値には影響する

可能性は否定できません。

 

http://www.tufu.or.jp/gout/

※公益財団法人 通風財団のサイトを参照しています。

 

また肥満も一因となるため、

以前こちらのサイトでも触れたとおり

果糖入り飲料、

つまりは

「ジュース類」は極力控えるべきでしょうね。

 

甘くない、「果糖」に関する怖い話。。。

 

尿酸値を正常に保つために

食事に気をつける事は

もちろん大切では

ありますが、

先ごろ、

痛風は食事よりも遺伝子?!

という非常に斬新な

臨床研究が報告されました。

 2018 Oct 10;363:k3951. doi: 10.1136/bmj.k3951.

Evaluation of the diet wide contribution to serum urate levels: meta-analysis of population based cohorts.

 

研究筆頭者である

Major氏らは、

痛風の患者さんは、

食事を含めた、自分自身の

不健康な食生活が原因である

という後ろめたい感情から

医療機関の受診や治療を

ためらう。。。

そういう傾向があるのではないか?

と考察しておられます。

しかし、遺伝子の影響が大きい

というこの研究結果を

受け入れる事で、

患者さん自身が

冷静になり、治療と向き合う機会が

増える事につながれば、

そのように考えて

いらっしゃるようです。

 

この指摘は、

とても重要である。

私はそのように感じてます。

 

「生活習慣病」

という言葉が浸透したことで、

健康維持のために

普段の生活において

意識や行動を変えて、

病気に罹らないようにしよう!

そういう方が増えたことは

とても素晴らしいと言えます。

 

しかし、

その一方で、

「生まれつき」

ある病気に罹るリスクを持っている方、

食事に細心の注意を払っても、

進行していってしまう

「慢性の病気」に苦しんでいる方が

数多く存在しています。

 

特に私の専門である

「慢性腎臓病」は

生活習慣の要因と、場合によっては

根本的な治療法が存在しない

「腎炎:じんえん」が

複合的に絡み合って進行していく

とても複雑な病状と言えます。

 

まじめな患者さんほど、

「こんなに食事をがんばっているのに!」

と苦しむ結果になっているのを

見るにつけ、

生活改善すれば治るという

ニュアンスを言外に含む

「生活習慣病」という

概念に縛られてしまっているのでは?

と思ってしまいます。

そして、

最大限、そういう苦悩を

受け止めつつも

ある程度は仕方ない事と

時間をかけて

受け入れて頂く事で

必要な治療に取り組んでもらえるような

働きかけを、

心がけています。

 

 

先の研究が、

日本人には必ずしも

あてはまらない可能性はありますが、

ある程度食事に気をつけて、

体重を落とせても、

「尿酸値」が改善しないとき。

それはもしかしたら、

遺伝子が、原因かも知れません。。。

 

実際に、特定の遺伝子の関与が

示唆されている

尿酸値がとても低くなる病気、

腎性低尿酸血症

という難病があります。

http://www.nanbyou.or.jp/entry/756

※難病情報センターのサイトへリンクします。

 

この事実からも

体内における

尿酸の制御、には

なんらかの形で遺伝子が関わっている

可能性はあるように

思われます。

 

従いまして、

健診などで、

毎回、尿酸が高い、との指摘を

受けているような方は、

ある程度食事に注意しつつも

悩まず、苦しまず、

かかりつけのお医者さんの

診察と治療を受けて欲しい。

そのように思います。

 

 

まとめ

 

特に中年以降の男性諸氏、

尿酸が高い!を侮ってはいけません。

痛風だけではなく

命にかかわる病気の原因になりえます。

食生活に気をつけ、減量することは大切ですが、

治らなければ、悩みすぎずに

すみやかに医療機関で治療を受ける、

そのようにお願い致します!


石川英昭(いしかわひであき)

管理者・石川 英昭


現役医師、二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。
ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。

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