現役医師が、患者さんに⁈「大腸カメラ体験記」〜後編〜

いよいよ「大腸カメラ検査」の

予約へ!

 

〜後編〜

大腸カメラ検査の、

予約に行ってみた!

検査前日、当日は

どう過ごすの?

しばらく下痢が大変な件。。。

 

※前編が未読の方は、こちらもどうぞ。

現役医師の、患者さん目線で語る「大腸カメラ体験記」〜前編〜

 

後編だけでも、お楽しみ頂けるかと思っています!

 




 

大腸ガン検診の

結果を受けて、

それほど日が経たないうちに、

現役医師として、

様々な文献や、資料、

学会のホームページを読み漁り、

大腸カメラ検査を受ける決意を固め、

近所の

胃・大腸カメラ検査の

看板を掲げるクリニックを

受診する事にしました。

 

こちらには、

以前、胃カメラ検査を

お願いした事もあるクリニックさんで、

先生も信頼出来ます。

 

電話で診察予約をしてもよいかな?

と思いつつも、

少しぐらい待たされてもいいや、

という感じで、

検診結果を持参して受診することに

しました。

 



 


診察室での、医者同士のやりとり。

 

当日は、

土曜の午前中でしたが、

それなりに待合室は

混雑していました。

 

ふと受付に目をやると、

「大腸カメラ検査予約」は

約3週間後から可能、と

書かれていました。

 

まあ、これは妥当なところでしょうね。

受診して、すぐにでも

検査が出来ますよ、というような

クリニックは、

予約数が少なくて「大丈夫かな?」

と心配になるところです。

 

受診手続きをすませて、

待っている間にも、

何度か受付の電話がなり、

事務員さんが

検査の予約や、診察予約などの

応対をされていました。

 

なかなかに、繁盛しているな、

とその様子を眺めていました。

 

ぼーっとしながら

待っていると、

ついに私の名前が呼ばれました。

 

診察室では、

おそらく私よりは年上とおぼしき、

女性医師の先生が

お決まりの問診をして下さいました。

※おそらく先生は、わたしが医者である事は

ご存じないかと思われます。

 

先生

「おひさしぶり、になりますね。

今日はどうされましたか?」

「はい、大腸ガン検診で、

ひっかかりまして。。。」

 

先生

検査結果をご覧になりつつ

「そうでしたか、

まあ原因にはいろいろありますがね」

「肛門の周りの傷であったり、

あるいは大腸ポリープなども、

便に血液が混じる原因ですね」

「で、どうしましょうね?」

「大腸のカメラ・・・」

「ええ、大腸カメラをお願いします」

 

お忙しい先生の診察時間を無駄にしない、

模範的な回答。

そもそも、様子をみるなら、

こんなところに来ませんよ、

と内心思いつつ。

 

先生

「そうですね、分かりました、予定しましょう」

「下剤を飲んで、便をたくさんする事になるので、

一日時間をとって下さいね」

 

「・・・! そ、そうですか分かりました」

ちょっと狼狽しつつも

平静を装いお返事。

そして、日時を決めてから

もっとも気になる点について、

先生の方から質問がありました。

 

先生

「ところで、検査中、眠くなるような薬は

ご希望されますか?」

「もし、ご自分でリラックスした呼吸が出来れば

大丈夫ですよ?」

 

「いえ、是非お願いします。」

「腸が緊張して、カメラが通りにくいと

申し訳ありませんので」

とキッパリ申し上げました。

 

(要は、苦痛があるかも知れないので、

出来れば寝ている間に終わらせて欲しいという

ビビリの発言。。。)

 

先生

「わかりました」

看護師さんに向かって、

「じゃあ、ドル、準備しておいて」

と一言。

 

 

 

 

これは、医師であれば

鎮静剤の

「ドルミカム」

※クリックで薬品情報にリンクします。

であると、すぐにピンと来る薬品です。

 

「ド・ドルミカム・・・!」

 

これは、

かなり効き目のある

鎮静薬剤であり、

「終わったあと、歩いて帰れるかな?」

と、ちょっと心配になってしまいました。。。

 

まあ、それでも

カメラでお腹に空気を入れられたり、

腸をねじられたりするのが分かるよりは

良いかなと、

先生にお任せする事にしました。

 

 




検査前日からの食事制限、
「下剤」一本まるごと飲み干し!に、戦慄する。。。

 

さて、

大腸カメラ検査を受けるには、

当然ながら

大腸に「便が溜まっている」

状態は望ましくないわけで。

しっかりと、腸の内部、粘膜を観察するために、

腸内を「空っぽ」にしておかなくてはなりません。

 

そのために、

前日から、なるべく胃腸の内容物を

減らすような食事として、

低残渣食(ていざんさしょく)

を摂る必要があります。

 

低残渣食ってなに?

※クリックで用語解説・外部サイトへリンクします。

 

というわけで。

前日の朝、晩は

おかゆと、少しのおかず。

 

 

お昼は、

カロリーバーのような食品を

摂る事になりました。

なお、これらは

検査を受けるクリニックから

無償提供頂いた品々です。

 

 

お昼には、レトルトのコーン・スープも

付属していましたが、

診察業務に忙しく、暖める暇がなくカロリーバーのみで

空腹を満たしました。

 

さて夕食ですが、

ひとり「おかゆ」を食べておりますと、

幼稚園に通う次男から、

「なんで、パパだけ、おかゆなの?」

と無邪気に聞かれました。

 

 

母親が、

健康診断を受けるためなんだよ、

と答えますと、

分かったような、

分からないような表情で、

「ふーん」

と言いました。

パパは、自分が「大腸ガンではない」

と証明するために、

明日は戦ってくるんだぞ!、

という思いを胸に秘めながら、

「そうなんだよー」

と明るく答えました。

 

これをお読みの

お父さん諸氏は、

「大腸カメラ前日」

くれぐれも

残業で疲れて帰ったり、

付き合いの宴会はお控えになり、

一家団欒のなか、

心静かに

「低残渣食」

を味わうように

お願い申し上げます。

 

そして翌日の

「大腸カメラ」

に備えて、

いつもより早めに就寝する事を

オススメ致します。

 

※ただし寝る前に、

下剤の服用を指示される事が

多いと思われます。

 

 

 



 

翌朝、

いよいよ検査の当日です!

 

 

当然の事ながら

食事は禁止で、

水分のみ、で

検査まで過ごす事を

指示されています。

 

 

そして、ついに

最後の仕上げとして、

「腸を強制的に空っぽにするために」

下剤の大量内服!の

儀式に臨む時がきたのです。。。

 

 

大腸刺激型緩下剤

まるごと一本を、

以下の検査前の排便促進液状内服液1800ml

に溶かして、

これを約1時間かけて、

ゆっくり飲むように、

との指示書きでした。

 

 

この下剤、

人によっては、

便秘に悩んでいる

患者さんでも、

ほんの数滴で、

「先生、ひどい下痢になった・・・」

と訴える方がいるぐらいの

非常に強力な薬なのです。

正直、

と立ち止まらざるを得ない

心境でした。

 

更に、検査指示書には、

これを飲んでから、

5回から8回程度で

以下の写真にあるような

「透明な便」

になるはずです、と

さらっと記述してありました。

 

※食事中の方は、閲覧注意です!

 

 

これを作成した人間は、

一体全体

ごく短時間に

5〜8回の便が出る、

という状況を経験した事があるのか?

と突っ込みたくなりますが。

 

そうも言ってられないので、

粛々と、一回当たり

100-200ml程度を

コップに小分けして

飲んでいくことにしました。

 

案の定、

数分後には、

一回目の洗礼が待っていました。

 

その後は、

下腹部に軽い違和感というか

痛みを伴いながら

何度もトイレに駆け込むように

なりました。

 

 

ここで注意が必要です。

この「排便促進剤」

を大量に飲む際には、

必ず、お茶や水などの

水分も同時にシッカリ摂る事を

忘れないようにしましょう。

(事前に、そういった指導があるはずです)

 

一見、大量の水分を

摂取している錯覚に囚われますが、

ほとんどが

「下痢便」として

体外に排泄されてしまっています。

そのため、

それを補うように水分をとっていかないと

身体は「脱水状態」に

陥ってしまいます。

 

そして、

この数回に及ぶ排泄という

洗礼は、

確実に体力を奪います。。。

 

もし、

そもそも風邪気味であるとか、

少し熱があるかも知れない、

というような時には、

迷わず

「大腸カメラ検査」

は延期すべきである、と

現役医師として、

経験者として、

この場にて、お伝えしたいと思います。

 

実際わたしも、

この儀式が終了してから

しばらくの間、

ソファで横になって身体を

休めました。

 

話が少しそれましたが、

トイレに通い詰める事

十回近く、

ついに、

「尿のような便」

に到達し、

無事検査を受けられる

「大腸の環境」

が整った事が確認されました。

 

 

しかし、これとひきかえに、

肛門付近は、かなり

「ひりひり」

と痛む感じになっておりました。

まあ、当然といえば

当然ですよね。

 

そしてもう一点。

この大変な儀式には、

「検査が始まるまでに、

透明な便になるように!」

という時間的制約が課せられており、

これは、かなり

プレッシャーになるような

気がします。。。

 

 

 

わたしも、勤務先の病院で、

「大腸カメラ検査」

を受ける準備をしている入院患者さんと、

病棟看護師さんの遣り取りを聞く機会が、

時々あります。

 

なかには、

なかなか、透明な便にならない

患者さんもいるようで、

検査室のスタッフから電話

「まだですか??」

と催促されて、

困っている看護師さんに

遭遇する事があります。

 

 

病院では、

たくさんの患者さんに対して

効率よく検査を回す必要があるので、

致し方ないのですが、

これからは、

「いやいや、あれはとっても辛いから、

ちょっとまってあげようよ」

と、優しくなってあげられそうです。

急がされると、

精神的に落ち着かなくなり

余計に排便しにくくなる事が

予想されます。

 

ありきたりな話ではありますが、

医療者は、

時には

医療を提供される患者さん側の視点、

にたって物事を考えられるように、

共感出来るようになるために

こうして実際に、いろいろな

検査や治療を受けてみるのが

必要なのでは?

と個人的には、

思うところであります。

 



 

=========================

ここまで、長々と書いてまいりましたが、

お付き合い下さっている方には、

まずは御礼申し上げます。

この後、いよいよ

検査を受けて、

結果を聞いて帰宅する、

という話になりますので、

もうしばらく

この体験記を、お楽しみ?いただければ

嬉しく思います。

=========================

 

トイレが気になりつつも、

なんとか歩いて

クリニックに到着!

 

受付をすませて、

しばらく待っていますと、

名前を呼ばれました。

 

体調の確認、

血圧の測定をすませて、

更衣室で

検査着、に着替えるように

指示をされます。

 

渡されたパンツは、

穴の空いている方を

お尻の向きに、

と注意を思い出しながら

慎重に履きました。

 

 

着替えて、

検査待合室に

戻りますと、

看護師さんが

鎮静剤の点滴を

準備して下さっている

ところでした。

 

 

 

目線の先には、

カメラを点検する

医師の姿が見えました。

 

その先生にとって

わたしは、

このあとも検査が予定されている

何人もの患者さんの

ひとり、に過ぎないんだろうな、

などと、

ぼんやり考えていました。

 

わたしも、

普段、自分が診察する側ですと、

受診にいらっしゃる

多くの患者さんは、

電子カルテに名前が羅列された

単なる記号、文字情報として

認識してしまっている

かも知れないな、と

思いながら。

 

しかし、

ここまでお読みの方ならば

わたし、

が「大腸ガン検診」

を受けてから、

今に至るまで、

ひとつの物語を持っている事を

お分かり頂けるかと

存じます。

検査結果に、動揺しつつも

ひと呼吸おいて

冷静に判断し、

検査を受ける事を

決めるまでの

心の動き。

 

その後、

検査の予約のために

町のクリニックを受診する

という行動。

 

検査前日、

低残渣食を食べ、

当日は大量の下剤に

恐れおののき、

下痢と肛門の痛みに

耐えながら

神妙に検査を待つ

胸の内。

 

今の

若手研修医教育課程では、

検査の見方や

手術や処置などの技術については

とても詳しく教えますが、

このような

患者さん

ひとりひとりの

物語や心の機敏、については

伝える機会が

あまりないように

感じています。。。

 

以前から、

患者さんとの対話を通じて

どのような経緯で

病になったか?

それについて

どう思っているか?

に基づいて

よりよい医療を提供していく

姿勢として、

NBM(Narrative-based Medicine)〜物語と対話による医療〜

という概念が提唱されています。

物語に基づいた医療

※クリックで外部サイトへリンクします。

https://sps.columbia.edu/academics/masters/narrative-medicine

※参考となる外部サイト(英語)へリンクします。

 

今回、

この体験記を書きながら、

この事の大切さについて

いろいろ思い巡らせた次第です。

 




やや話が横道にそれましたが、

まあご寛恕下さい。

 

肝心の

「大腸カメラ検査」

は、鎮静剤のおかげで

最初の2-3分以外に記憶がなく、

おかげさまで

全くと言って差し支えないほど

苦痛はありませんでした。

 

ヒリヒリした肛門も、

麻酔を含む潤滑剤のおかげで

カメラという異物の挿入も

それほど気にならずにすみました笑。

 

結果も、

幸い大腸ポリープや大腸ガン、

その他の異常を指摘されませんでした。

 

検査が終わってから

時計をみると、

20分程度しか経過していなかったので、

おそらくポリープの検査は

実施していないだろうな、

おおきなトラブルはなかっただろうな

と予想はしていましたが、

実際に先生からの結果説明に

安堵しました。

 

 

大腸カメラ検査自体は、安全なの?

という方のために、

※大腸カメラによる、合併症(カメラで腸に穴があく、出血するなど)

についてお伝えしたいと思います。

 

大腸内視鏡は,3,815,118件が実施され,偶発症は438件(0.011%)であった.

つまりは、ほとんど心配がない、と考えてよい統計データと思われます。

 

 

すべてを終えて

さて、家内に迎えにきてもらおうかな?

とも思いましたが、

クリニックで少し休憩させてもらってから

歩いて帰途に着きました。

 

さて、

大腸カメラに関して、

是非、最新の臨床研究をご紹介させて下さい。

この研究で

「大腸内視鏡検査で、問題なし、の結果であった場合

次回は10年後で良い可能性が高い」

と報告されました!

米国人を対象にした研究ではありますが、

約125万人!の平均的リスクの(50歳以上、大腸ポリープや

その他、大腸の病気の指摘なし、血縁者に大腸ガンなし)

人達について、約10年間の追跡調査をした結果の解析であり、

とても信頼性の高い研究であると、

医学博士が太鼓判を押します。

 

これは朗報、と言えますね!

 

 

 2018 Dec 17. doi: 10.1001/jamainternmed.2018.5565. [Epub ahead of print]

Long-term Risk of Colorectal Cancer and Related Deaths After a Colonoscopy With Normal Findings.

 

 

一度頑張って検査を受けて、問題なしなら

向こう10年間は、検診としての大腸カメラ、については思い悩まなくてよいかも?!

 

という訳で

いよいよ、

この体験談も、終盤が近づいてまりました。

最後にひとつだけ、

気をつけて頂きたい事を

付け加えておきます。

 

検査前に飲んだ下剤は、

人によっては

翌朝まで効果が続く可能性が

あるように思われます。

 

 

検査の後、

翌日の朝は、

食事は軽く摂る程度が

よいかと思います。

通勤中に、お腹が痛くなるとも

限りませんので、どうぞご用心下さい!

※実際、わたしは、検査翌日も

下痢が半日続きました。。。

 

最後までお読み頂いた方、

本当にありがとうございました。

 

大腸ガンの発生リスクが

高くなる、40代〜50代の方は

一般的には仕事でも

責任ある立場にあり、

なかなか

「大腸ガン検診」を受けたり、

「大腸カメラ検査」をどうしようか?

考えたりする機会が持てないのではないか、

と危惧しています。

 

働き方改革が叫ばれる昨今、

仕事と休みのバランスという事だけではなく

健康長寿のために、

病気の早期発見、早期治療のために、

是非、なにより大切な

ご自分の身体のために

時間を確保するように、

心掛けて頂きたい。

 

今回の

わたしの体験談が、

そうしたきっかけになるのであれば、

なによりの喜びです。

 

こちらもあわせてどうぞ!

現役医師の、患者さん目線で語る「大腸カメラ体験記」〜前編〜

 

 

石川英昭(いしかわひであき)

管理者・石川 英昭

現役医師、医学博士。二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。
ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。

 

サイトマップ