現役医師がお伝えしたい、自宅で手軽に「遺伝子検査」のデメリット

手軽に出来るようになった、「遺伝子検査」

 

 

 

テレビ番組でも

「遺伝子;いでんし」

の特集が組まれるなど、

世間一般でも、

遺伝子に関する関心の高まりを

感じる今日この頃。

 

ここ数年で遺伝子の解析技術が

急速に進化に発展した結果、

自宅で簡単に「遺伝子検査」が

受けられるように

なってきました。

 




 

そこで今回は、

自宅で出来る「遺伝子検査」をテーマとして、

○検査でなにが分かるの??

○検査を受ける、メリット
デメリットはなに?

に関して

現役医師として、旗本末裔・サムライの子孫として

斬り込んでみたいと思います。

 

 

 

 



 


市販の「遺伝子検査キット」でなにが分かるの?

 

そもそも

遺伝子検査とは、

どのようなものなのか?

 

一般的に、

親から子どもに、身体的な特徴が

「遺伝」する事は

みなさんも、納得頂けるかと

思われます。

遠目でも、

彼らは「親子だな〜」

とすぐに分かる場合がありますよね。

 

 

 

こうした特徴を決定していのが

「遺伝子」です。

 

ヒトの身体を構成する

60兆!もの細胞の全てに

DNA(デオキシリボ核酸)が

存在しています。

そして、こららDNAの配列によって

「遺伝子情報」が決定される事が

分かっています。

https://www.jba.or.jp/top/bioschool/basic/bas_02.html

※外部サイトへリンクします。

 

こうした「遺伝情報」を

調べる検査キットとは、

どんなものか?

 

インターネットで、

「遺伝子検査キット」と入力して

いくつかの販売会社のサイトの

サービス案内を

確認させてもらいました。

 



 

その結果、

検査方法は、「唾液」を指定の容器に入れて

検査会社に郵送し、

約1ヶ月ぐらいの後に、

スマホやPCで結果を閲覧できる

有償サービスである事が分かりました。

 

そして、

検査キット販売会社のサイトには

ご自身が、罹りやすい病気について

知る事が出来ますというメッセージとともに、

この検査結果を参考に、

生活習慣をみなおし、健康維持や

病気の予防に取り組みましょう、

といったメッセージが添えられています。

 

自分は

生命を脅かすガンや、

高血圧、糖尿病などの生活習慣病に

どの程度罹りやすいのか?

遺伝子情報から、それを推測します

という事なのでしょうね。

 



 

ここで、

まずはとても基本的な点について

確認をしておきます。

これら市販の「遺伝子検査キット」

は、ある特定の病気の発症に関係する

「遺伝子」

を持っているかどうか?を調べる

診断的検査ではない、という大前提です。

 

以前、

あるハリウッド女優が、

BRCA遺伝子検査を受けた結果、

乳がんの発症リスクが高いと判断され

両方の乳房を切断した、という話が

とてもセンセーショナルに報道されました。

https://www.mylohas.net/2018/08/172789brca-test.html

※外部サイトへリンクします。

 

このニュースから、

「遺伝子検査でそんな事が分かるの?!」

「自分は大丈夫だろうか・・・検査を受けた方がよいのか?」

「その検査は、一般の病院で受けられるの??」

といった驚きや、不安を覚えて

検査について詳しく知りたいと感じた方も

少なくないのではないでしょうか?

 

 

 

 

私も当時赴任していた病院で、

こうした特定の病気の発症に関わるとされる

遺伝子検査に関して、一般病院としてどう患者さんに

情報提供していくのか?

そのような会議に参加する

メンバーの1人でした。

 

一般的に、

ある特定の病気の発生に関わるとされる

遺伝子を調べる事は、

まずは、その存在を知る心の準備、

もっと言いますと、「覚悟」があるかどうか?

この点がとても大切になります。

そして、もしそうした遺伝子を持っていると

判明した時、それは自分の子ども達にも

「遺伝」してくる可能性について

いやでも、考えてしまう事になります。。。

 

しかし、たとえその「遺伝子」を持っているとしても

本当に「発病するのかどうか?」については

現状、ある程度の確率を予想する事しか

できないとされています。

 

理由の一つとして、

ある病気の発生には、

遺伝子が関与している事も確かですが、

それ以上に生活習慣や、環境などの要因も

かなりの影響を及ぼしている事が

分かっているからです。

 

 

食中毒や、深刻な健康被害の原因となる身近な「毒物」を避けよう!

※参考記事です。

 

身近な例として

喫煙習慣が、肺ガンの発症リスクに関わっている

という事は、どなたも

納得いただけるのではないでしょうか?

 



 

つまりは、この

「乳がん発症に関与するとされるBRCA遺伝子検査」

を受ける事で、

その結果が、もし陽性であった場合、

どう受け止めるのか?

発症の可能性がある、という事実を重視し

すぐに手術で乳房を取ってしまうのか?

毎年検査を受けて、なにか病気の兆候が見つかってから

の手術がよいのか?

そのまま、しばらくは様子をみるのか??

家族には、なんと伝えるのか?。。。

こうした事を、

全部ひとりで背負う精神的プレシャーは

尋常ではないため、

多くの病院では、

「遺伝子カウンセリング」という仕組みを設けて

訓練された医療スタッフが中心となり、

まずは、遺伝子検査がどういうものなのか?

を丁寧に説明し、患者さんと対話する時間を

大切にしている訳です。

 

 

 

 

http://www.jsgc.jp/isgccong.html

※日本遺伝カウンセリング学会のサイトへリンクします。

 

このように、

特定の病気に関わる遺伝子検査は、

検査を受ける方の

「知る権利」と

「知りたくない権利」

そのどちらも尊重される必要が

あると言えます。

 

従いまして、

わたしとしては

市販の検査キットでも

ある程度

「身体の、いずれかのガン、の発症リスク」が

予想できるとするならば、

それを知った当人は、

場合によっては、大いに不安になって、

なにか追加で検査を受けた方がよいのだろうか?

などと考える可能性もあるわけです。

 

こうした事態も予想されるため、

「遺伝子検査」と呼ばれる検査は

すべて医師などの専門科医の

丁寧なフォローアップが

必須ではないか?

そのように考える次第です。

 

この点、

一応各検査キット会社は、

食事や生活改善のアドバイスの冊子などを

配布する事でアフター・ケアにしているようですが、

病院での対面診察による

健康維持や疾病予防の指導には

及ばないはずです。

 

 

 

こうした

自宅で手軽に「遺伝子検査」に潜む

デメリットについて

もう少し考えてみたいと思います。

 



 

 


DTC(Direct-to-Consumer) 遺伝子検査ビジネスとは?

 

以下の論文では

遺伝子検査ビジネスを扱う

企業に対して

分析妥当性の確保、

科学的根拠の確保、

遺伝カウンセリングへの確保

いずれも極めて不十分であるである事が

明らかとなった、と

極めて手厳しい批判が展開されています。

※「遺伝子検査ビジネス」に関する実態調査 原著論文より引用です。

 

http://mlib.kitasato-u.ac.jp/homepage/ktms/kaishi/pdf/KI48-1/KI48-1p019-026.pdf

※「遺伝子検査ビジネス」に関する実態調査にリンクします。

 

日本語論文ですので、

ご興味ある方は

是非ご一読下さい。

確かに、

検査会社によって

結果にばらつきがある事は、

キットを色々試された方の

ブログ記事にも書かれていました。

 

更には、

遺伝子検査の結果のみで、

場合によっては

誤った健康、生活指導が行われ

不適切な健康行動を取る

恐れもあるとの指摘もあり、

わたしも同感です。

 

更には、

結果に対して

医師や有資格者が対応するなどの

遺伝子カウンセリング的窓口の

不整備についての批判もあり、

これについては、

わたしも先に書きました通りです。

 



 

では、今回のまとめとして、

遺伝子検査サービスを

購入しようか迷っている人のための

チェックリスト10か条

という、とても参考になるページを

ご紹介致します。

 

http://www.pubpoli-imsut.jp/pdfs/00018.pdf?9c69aac5ba823e5ac39e1efd4540f039

※外部サイトへリンクします。

 

  1. 診断ではありません
  2. 会社によって答えはバラバラです
  3. 研究が進めば、確率は変わります
  4. 予想外の気持ちになるかもしれません
  5. 知らないでいる権利の存在を知りましょう。知った後は戻れません
  6. 自分で知ろうと決めたなら、医師に頼るのはやめましょう
  7. 血縁者と共有している情報を大切に扱いましょう
  8. 強制検査・無断検査はダメ、プレゼントにも不向きです
  9. あなたのDNAやゲノムのデータの行方に関心を持ちましょう
  10. 子どもには、大人になって自分で選べる権利を残しましょう

遺伝子検査サービスを

購入しようか迷っている人のためのチェックリスト10か条

より原文引用です。

わたしはこれに、もう少し付け加えたいと思います。

 

11. 病気の遺伝、について知りたければ、まずは両親やご先祖の方の病気を知ろう。

 

自分が将来どんな病気に罹りやすいのか?

それを知る、一番身近な手がかりは、

自分達の親を含めた、ご先祖の方々が

これまでに罹った病気や

ある病気が原因で亡くなった、

などの話について、詳しく聞いておく。

これに尽きると思われます。

その際に、そうしたご先祖の方が

どんな作業環境でお仕事をされていたのか?

何歳まで生きられたのか?

どのような生活習慣で、どんな嗜好(タバコやビールなど)

があったのか?

どんな体型をしていたのか?

そういった事柄も、とても有用な遺伝情報と言えます。

 

自宅で手軽に「遺伝子検査」もいいですが。

親戚の方も含めて、

ご両親がお元気なうちに、

そういう話をする機会を

なるべく持つようにしていく事の方が

より大切なのでは?

現役医師として、

そのように思いつつ、

今回の締めと致します。

 

 

 

およみ下さり、ありがとうございました!

 

 

石川英昭(いしかわひであき)

管理者・石川 英昭

現役医師、医学博士。二児の父。
徳川幕府・直参旗本石川家末裔。

ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!
との信念からマインドセット、
食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。

 

サイトマップ