「健康診断」、なんとなく受けていませんか?

「健康診断」について、改めて考えてみる!

 

こちらに

お立ち寄り頂き

ありがとうございます。

健康長寿!のために、

日々の思考や行動様式、

食事内容、生活習慣など、

病気の一次予防のススメを

テーマにしている

当サイトですが。

 

今回は、

二次予防である

「健康診断」について

正面から斬り込んで

いくことにします。

 



 

先日、

通勤途中にしばしば立ち寄る

駅の本屋で

「健康診断」について、

やや批判的に書かれている

雑誌が、ふと目に留まりました。

 

 

 

 

 

こうした

簡単に手に取れる

活字媒体の医療情報は

一般の方に対して

とても大きな影響力があると

思っています。

 

病院勤務の現役医師として、

どのような内容なのか?

興味があり

パラパラと眺めてみました。

 

納得のいく記述もあれば、

少し違和感を覚える箇所もあり、

「健康長寿」サイトを

運営する私としては、

ささやかな反論

を含めた検証を

試みてみたくなりました。

 

という訳で、

今回から以下の

合計3回に分けまして、

書いてみることにしました。

 

①「健康診断」それ自体による健康被害の懸念を知る

②「健康診断の基準値」の曖昧さに対する批判に向き合う

③決して無意味ではない、

「健康診断」による疾病の「早期発見」

 

 

「健康診断」への

極端な言論に対する警戒感をもって、

少し冷静になって考えて頂きたい。

そんな思いで書きますので、

しばしお付き合い下さい。

 




「健康診断」の検査自体に潜む健康被害とは?!

 

病気を早く見つけるため、

自分が「健康であるか」

知るために推奨されている

「健康診断」ですが。

検査行為、それ自体が

「健康被害」をもたらすリスクがある事を

ご存じでしょうか??

 

そんな事があるんですか?

と言われそうですが、

実はあるんです。。。

 

これは、以前から数多くの指摘がある通り、

「胃のバリウム検査」

をいち例にあげて説明したいと思います。

 

胃癌の早期発見のため、

という名目で

多くの健康診断には、

「胃のバリウム検査」

もしくは

「胃カメラ検査」

の選択肢が示されています。

 

みなさんは、

どちらの検査を選びますか?

 

胃カメラは

なんだか大変そう。。。

だから「バリウム検査」

という意思決定でしょうか?

 

もう少し

健診にお詳しい方ですと、

「バリウム」で異常が見つかると

結局は、

「胃カメラ」を勧められるから

最初から一回で済ませるために、

胃カメラ検査を選ぶ、

という姿勢でしょうか?

 

もちろん、

個人の希望が尊重される

べきではありますが、

わたしとしては

以下の医学論文に挙げられている、

「バリウム検査」の有害性、

に関しての情報は、

是非とも知ったうえで、

健診における

「胃の検査」

を選んで欲しいと考えています。

 

 

The Association Between Barium Examination and Subsequent Appendicitis: A Nationwide Population-Based Study.

Li HM, Yeh LR, Huang YK, Lin CL, Kao CH.

※クリックで外部サイトへリンクします。

上記の論文は

バリウム検査が、虫垂炎(いわゆる盲腸)

のリスクになり得るという

台湾で実施された

信頼のおける大規模臨床研究です。

 

原因に関しては、

更なる研究が必要である

としながらも、

重金属であるバリウム

腸管内に長時間とどまる事で

惹起される「便秘」が

誘因のひとつと

考察しています。

 

更に、この研究では

検査後も

二ヶ月後までは

虫垂炎の発症は発生リスクが高く

要注意!としています。

 

虫垂炎は、

抗生物質で治癒する場合も

ありますが、

重症化すると

手術治療が必要なる事もあり得ます。。。

 

 

 

 

 



 

一般に、

バリウム検査では

当日の検査後に、

下剤を飲むように指導されます。

 

 

 

 

わたしもバリウム検査を

受けた経験があります。

下剤を服用していたためか、

検査後数時間で

腹痛を自覚しました。

 

 

排便で解決するだろう、

と思っていたものの、

それから二日ぐらいは、

お腹の鈍痛と、

バリウムの混ざった白い便が続き、

とても不愉快な気分でした笑

 

朝一番、

空腹で「胃のバリウム検査」

を受ける事で、

腹痛や、排便に悩まされ

仕事のパフォーマンスが

落ちる可能性があると言えます。

 

更に重大なこととして、

バリウム検査では、

胃の撮影のために、

10分以上、

放射線(X線)を

浴び続ける、

つまりは被爆する、

という事実です。

 

 

 

国際放射線防護委員会(こくさいほうしゃせんぼうごいいんかい)

通称、ICRPからも以下の

学術論文が報告されています。

 

2012 Oct-Dec;41(3-4):129-41. doi: 10.1016/j.icrp.2012.06.002. Epub 2012 Aug 22.

Effective dose and risks from medical X-ray procedures.

※クリックで外部サイトへリンクします。

これは、X線検査と

発がんリスクに関する

注意喚起の報告です。

こちらでは、

特に若年者が、

放射線を浴びる事による

将来的な「発がん」リスクにつき

コメントしています。

 

2004 Jan 31;363(9406):345-51.

Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries.

※クリックで外部サイトへリンクします。

 

そして、もう一本。

世界有数の科学雑誌である

LANCET

でも、イギリスを含む14か国での

X線検査と「発ガン」リスクについて

研究報告しています。

もちろん、

ガンの発症には、

環境や食生活その他多くの原因が

考えられており

一概に「放射線」のみがリスクとは

言えないものの、

出来れば不要な「被爆」は

避ける必要があると思います。

 

 

 

 

 

 

ここまで、

「胃のバリウム検査」

の健康被害の可能性につき

述べてきましたが、

いっぽうで、

「胃カメラ」は

100%安全と言えるのでしょうか?

 

胃カメラにも、

カメラで食道や胃を

損傷するリスクは

確かにあり得ます。

 

昨今、

鼻から入れる

胃カメラもあり、

身体への負担は減っていますが、

それでも嘔吐反射(吐き気)

を誘発されたり、と

やはり大変な検査である事は

間違いありません。

(眠らせる薬を使ってくれる

場合もありますが)

 

 

 

以上、バリウムの件からも

お分かり頂けるかと思いますが、

①「健康診断」それ自体による健康被害の懸念

については、

配慮が必要と考えられます。

 

それでも、

「胃ガン」

による死亡リスクの軽減に

胃カメラによる健診は有効と

考えられます。

※原著論文にリンクします。

 

問題は、

健診の「胃バリウム検査」では

ここに書いたような

危険な合併症について、

現在のところ

充分に説明がなされていない、

という点にあると

わたしは思います。

 

補足ですが、

自分が診察させて

頂いている患者さんには

自身の経験と

臨床研究の結果を踏まえて

健診では

「胃カメラ検査」

をオススメしています。

 

お読みいただき、

ありがとうございました。

次回の

「健康診断」の際に、

ご参考頂ければ幸いです。

 

 

※参考記事

現役医師が、患者さんに⁈「大腸カメラ体験記」〜後編〜

 

次回は、

②「健康診断の基準値」の曖昧さに対する批判に向き合う

です、どうぞご期待下さい!

 


石川英昭(いしかわひであき)

管理者・石川 英昭


現役医師、医学博士。二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。
ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。

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