仕事における、「やりがい搾取?」にご用心。。。

「やりがい搾取」について考えたことはありますか?

 

 

毎日、

額に汗して働くみなさんへ。

今のお仕事に、

「やりがい」

は感じていらっしゃいますでしょうか?

 

これこそ、

自分に与えられた

使命である!

と感じながら

ストレスを溜めずに働けるのは

心身の健康

にとっても、

素晴らしいと言えますね。

 

 




 

 

 

しかし、その一方で、

「やる気にあふれている人達」

が、時として、

管理者によって、

「やりがい搾取」

にあっているかも知れない。

そんな指摘をしている論文を読み、

この問題について

自分の置かれている、

「勤務医」

という立場も踏まえて

考えてみたくなりました。

 

 



 

 


2020年、東京五輪。医師への「無報酬」診療依頼について、思うこと。。。

 

 

では、改めて

仕事における

「やり甲斐」とは、

どういったものなのでしょうね?

 

自分が好きと思える仕事に

没頭できている状態。

 

子供のころから

憧れていた仕事に就き

働けている状態。

 

これらは人によっても

様々でしょうね。

 

では、

「やりがい」が搾取される

というのは、

どんな意味になるのでしょうか?

簡単に言えば、

「やりがいをもって働いた事」

に対する正当な対価(報酬)

が支払われない

という事であると

わたしは思っています。

 

そして以下の論文では

なぜこうした現象が起きるのか?

そのメカニズムについて、仮説を提唱しています。

 

参考論文)

 2019 Apr 18. doi: 10.1037/pspi0000190. [Epub ahead of print]

Understanding contemporary forms of exploitation: Attributions of passion serve to legitimize the poor treatment of workers.

 

つまりは

「そうやって”好きなこと”をやれている事自体が報酬だ」

「やる気があるなら、自分から仕事を進んでやるだろう」

という

管理者による暗黙の了解を

「やりがいを持って働く人達が」

心理的に受け入れてしまっている事が

その一因であると

考察しています。

 



 

なるほど、ですね。

好きな事をやれているんだ!

自分の能力が評価されているんだ!

といったような

自己暗示をかけてしまう事で、

時に、報酬が約束されていない

長時間労働に従事してしまう、

リスクがあると言えますね。

 

気がついたら

過労で倒れる、なども

あり得ますので、

これは

実に重要な指摘であると思われます。

 

 

これに関連して

2020年、東京五輪開催に伴う、

医師や医療職の

「無報酬ボランティア」

の話題についても、

考えてみたくなりました。

 

 

 

この話題は、

医師会などの

関連団体が、声をあげた事もあり

世間の関心を集めたようですね。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO37709810T11C18A1000000/

*外部サイトにリンクします。

 

 

炎天下の東京で、

数多くの外国人選手も参加するであろう

東京五輪。

また会場付近には

世界中からの観光客も

詰めかける事が予想されますよね。

 

そうした状況で、

医療ボランティア・スタッフが

期待、要求されるで

あろう行為というのは

なんでしょうか?

 

ちょっと気分が

悪い方の診察対応は

もちろんですが、

やはり、

突然倒れた方や、

怪我で負傷された方、

などなど

病院に行くまでの間、

ある程度の

治療や処置が必要になる方も

相当数になるのでは?

と思われます。

 

更には、

より重症な方を含めて、

救急車を要請し

病院に搬送するための

順番を決める(専門用語で、トリアージ

*クリックで用語解説・外部サイトへリンクします。

するのは、

ある程度訓練された、経験豊富な

医師や看護師などの人員が

不可欠と言えます。

 

そして、これは

極めて高い専門性と

責任も伴う

救急現場での医師の本業とも言える

職務に該当します。

 

 

 

 

そして

当日、医療ボランティア・スタッフ間で

うまく連携をとりながら、

スムーズに事が運ぶようにするためには、

事前にある程度の打ち合わせを

しておく必要がある。

そう考えますと、

そういった説明会へ参加する

時間的拘束も発生するのでは

ないでしょうか?

 



 

また

派遣されるおおくの

医師は、近隣の病院に

お勤めになられているであろう

わたしと同じ

勤務医の先生方が

大半のように思われます。。。

*以下外部サイトへリンクです。「オリンピック病院」、

が選定されているのに、ちょっと驚きました。

2020年東京オリンピック(五輪)に看護師として参加する3つの方法

 

これら施設から

医療ボランティアスタッフで派遣される

先生方は、

病院からは

「時間外勤務」の扱いを受けるのだろうか?。。。

万が一、医師自身が

「熱中症」などの健康被害を被った際は

なにか「補償」は受けられるのだろうか?

そもそも、

指定の場所までの

「交通費」は、病院支給なのだろうか?

更には、

ボランティア参加の翌日(もしくは別日)

に代休として休暇を取得させて

もらえるのだろうか??

 

ただでさえ、

通常勤務で、

消耗していらっしゃるであろう先生方。

同じ境遇にある

現場の勤務医として、

これらリアルな疑問を感じています。

 

私としては、

医師が医療行為に関わる以上、

非常に思い使命感や責任感を

感じての労働になり得るため

「お気持ちのある方だけ、どうぞ」

という提案には、

ちょっと疑問を感じます。

 

もちろん、

五輪の舞台に参加できる、

という価値観の方や

無報酬でも、社会のために、

という思いの医療スタッフの方々を

非難するつもりはございません。

 

ただ、この

五輪への医療ボランティアは、

ある意味、

「やりがい搾取」的な要素があるのでは?

と感じて、

所感を述べました次第です。

 

*東京五輪とボランティア

につきまして。下記の本はとても

示唆に富む内容で、オススメです。

 

by カエレバ

 

 

是非、

みなさん一人一人が、

「やりがい搾取」

について考えてみて

欲しいな、と思っております。

 

お読み頂き

ありがとうございました。

 

石川英昭(いしかわひであき)

管理者・石川 英昭


現役医師、医学博士。二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。
ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。

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