医師の働き方改革案に対して、思う事。

 

 

世間では、

「働き方改革」がいろいろな場面で、叫ばれている事は、皆さんもご存じかと思います。

勤務医である私も、まずは自分自身の体を労りながら、働こうと

日々思っています。

そんななか、先頃、医師の働き方改革に関して、とても気になる

報道を目にしました。

それは、2024年4月から勤務医に適用となる残業時間の上限規制について、

厚生労働省が将来的な上限を「年960時間」!とする方向で調整している。

というものでした。

一人前の医師になるための、技術や技能の習得には、多くの時間を

要するため、というのも一つの理由のようです。

また、別の資料では、

医師の時間外業務労働規制について、

●連続勤務後に休息を設ける、勤務間インターバル

●当直明けの連続勤務の規制

●上記の休息が取れない場合の、代償休暇の取得を推奨する

などを盛り込んだ提言もなされています。

※厚生労働省
第14回医師の働き方改革に関する検討会 資料より引用です。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000458951.pdf

確かに、こうしていくべきなんですが、

人員が少ない病院や、なかなか休みを取る、と

言いだしずらい雰囲気の現場も多いのではないでしょうか?

特に、ある程度の年齢を重ねた管理職世代は、

自分達は、ある意味モーレツに働いてきた、という意識、

自負があるため、なかなか休暇をとらない方も

いらっしゃるような印象です。

ただ、医師の場合には、あるスタッフが休めるかどうか?

は、外来や入院診療における仕事量によっても、随分と影響を受けると言えます。

そういう観点から、医師の働き方改革を考えたとき、

少なくとも 病院、に関しては、

軽い症状で 外来にかかろう や 大きな病院の方が安心だから という発想や 行動については

是非 ご一考頂きたいと感じています。

いつも見ている、朝のニュースでも

医師の負担を減らすため 患者さんの側も協力しましょう

というニュアンスのメッセージが発せられていました。

緊急性が高い方 入院治療や 手術治療が必要な方々の

ために 医療資源 ならびに 専門知識、経験豊かな 病院医を

より重点的に活用して頂く。

そのように なる事で 少なからず 勤務医の過剰労働は

軽減されると思われます。

この事は なにも 今になって急に 言われ始めた
訳ではありません。

「救急車をタクシーがわりにしないで下さい」

皆さんも 一度はこのような 呼びかけを耳にされた事が

おありになるかと思います。

お断りしておきますが

多くの勤勉な医師は 患者さんの診療

それ自体に負担を感じている訳ではありません。

使命感や やり甲斐 そういったものが

我々を支える土台です。

外科医であれば 手術に生き甲斐を感じ、緊急手術や

長時間の予定手術にも ワクワクしながら 集中することが出来ます。

 

 

内科医であれば なかなか診断がつかない病気の原因を

突き止めたて なおかつ幸いにも治療もうまくいった時。

患者さんと 信頼関係が築けているな と実感出来る時。

最期に お看取りをする際に、

先生に診てもらえて 良かった。。。

そういう言葉をかけてもらえた時に、とても満たされた

心地になります。

 

 

つまりは 単純に 労働時間が短くなれば医師の心身の

負担が軽減する訳ではありません。

医師一人一人が、いかに やりがいを感じられる部分にエネルギーを投入

出来ているか、その労働の質 こそが本質的なテーマと言えます。

これは どんなお仕事でも同じではないでしょうか?

勤務医の労働時間の上限引き上げ!

これは過労死に繋がるのではないか!

もちろん こうした議論は大切です。

しかし!

更に踏みこんで 労働内容の改善を! という視点から

考える必要がある。

そのように思うわけであります。。。

私を含めて 勤務医の場合、

夜間の救急外来業務 それが終わった翌日も

通常の外来業務。。。

それが終わると 膨大な書類仕事。。。

入院患者さんの 回診。

さて 一息という時間になると

病院内の様々な 問題について話し合う会議への出席。

若い先生達への教育活動などなど。

夜は 地元の医師会の先生との 勉強会を兼ねた 宴会。。。

こんな一日の先生が 多いと思われます。

先に上げた内容のうち 特に 書類仕事や

付き合いで 義務感ある宴会などは

嫌だ 、煩わしい と感じている先生は 多いのが事実です。

ITによる 業務改善、いやな行事は断ってよい

そういう雰囲気の職場になるのが 望ましいと考えます。

こうした環境の実現のためには、

確かに、患者さんにも、少し歩み寄っていただくと共に、

我々の心がけ、つまりは疲れたら休む、

無理なものは、無理と断る。

皆がリラックスして働けるよう

お互いに、思いやる、働きかける、そうするのもひとつの対策かな、と、

働き方改革、だけではなく

「働きかけ改革」

が出来るとよいですよね。

今回は、こんな感じで、締めといたします。

いつもありがとうございます!