血尿?! スマホで「医療情報」を検索するあなたに。

注)かなりボリュームある記事です。時間がある時にお付き合いください。

※尿の色が、いつもと違うような気がするけど、大丈夫かな・・・

「ちょっとスマホで調べてみるか」

という、あなたにオススメの記事を書きました!

 

 

*気になる「症状」について、スマホで調べた事はありますか?

 

 

今回は、医師としての専門分野である、

腎臓が関係している可能性がある、症状

「血尿」

について、扱う事にしました。

健康寿命に関連した話題を中心にお伝えしている、

本サイトですが、

「病気」について正しい情報をお伝えし、ある症状が気になる際に

どういう行動をとっていただくとよいのか?

これについても 是非知っておいてもらいたい。

そう考えています。

 

ただし、難しい専門用語の羅列では、わかりにくくて

退屈だと思いますので、

今回もひとつ工夫を盛り込んだつもりです。

それは、

ネットを使って「病気の症状」について調べる、というのは

どうなんでしょうか?

というテーマを、

現役医師が一緒に考える、という仕掛けです。

 

実際、こんにち、ネットには様々な医療情報が氾濫している状況と言えます。

また個人のブログにて、病気の体験談などを公開している方もいらっしゃり、

同じ病気に悩む方に、勇気を与えている場合もあると思われます。

ただし、その一方で、

ある情報を信用して、病院への受診が遅れ、治療が遅れてしまったり。。。

間違った内容を、他人拡散させてしまったり。。。

そういうリスクもある事に、注意が必要です。

また、そうはいっても、仕事に忙しい働きさかりのお父さんたち。

すぐには、病院にはかかりにくいのではないでしょうか?

そこで通勤電車の中、気になる症状を

スマホ、でちょっと調べてみるか?

という気持ちになるであろう事は、とてもよくわかっているつもりです。

 

折しも、本年1/7の日本経済新聞の記事で、

「正確な医療情報 医師監修で発信」

というコラムが目につきました。

私自身も、「健康寿命」に関する正確な医療情報を責任をもって

お伝えしているつもりですので、

こうした動きが、紙面にて取り上げられる事を

歓迎する立場です。

そこで、今回はこの記事で紹介されていた 3つの医療情報提供サービス

「MEDLEY」

「MSD マニュアル」

「メディカルノート」

*以下敬称略

を、実際に

患者さん目線で、

同時に、医者目線で、

その使用感について

辛口(笑)に批評してみる事に致しました!

 

検索項目は、ずばり

「血尿」です!

そして、サイトを使おうとしている人物や使用環境の設定も考えてみました。

45歳男性。

電車通勤の会社員、営業職。

夜の付き合いも多く、少し疲れを感じている。

数日前から、少し尿の色が濃いような気がしているが、

特に痛みもなく、急いで病院に行くほどではないかな、と思っている。

しかし、なかなか良くなっていかないため、大丈夫だろうか、少し心配になっている。

空き時間に、ネットで調べてみようかな?

と、スマホを取り出し、

情報検索する事にしました。

この男性は、自分の症状や病気の可能性について、

素早く、欲しい情報を手にいれる事ができるでしょうか?

そして、その情報は信頼できるものなのでしょうか?

スマホで調べた後、医療機関で相談する、という行動に繋がるでしょうか?

 

今回は、特にこれらを、サイトの評価項目として、

レビューをお届けいたします!

*インターネットの、「医療辞典」をうまく使いこなしましょう。



 

 

 

※今回は、公平を期すために、検索者は、

「MEDLEY」、「MSD マニュアル」、「メディカルノート」の全てのサイトを

知っているという前提で考察します。

(これらのサイトにアクセスするまでの手間は考慮しないという意味です)

 

*ご紹介するサイトは、順不同です。

*これらのサイトと、個人的な利益相反はありません。

*外部サイトの記載内容に関しては、客観的事実のみをお伝えし、本サイトでは

内容に関する責任は負いかねますのでご了承下さい。

*スマホと、PCサイトでは若干使用感が異なります。今回はあくまで

空き時間にスマホで調べている、という前提での比較検証記事です。

 

サイトのトップ・ページから、「症状」の検索までに要するステップ

 

まずは、「MEDLEY 」

https://www.medley.jp/

*MEDLEY公式サイトへリンクします。

まずは、トップ・ページ。

「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」

と書かれた画面が表示されます。

そして、どうやらその下にある

「医師たちがつくるオンライン医療辞典」、MEDLEY 」とあり、

こちらから症状や、病名を検索するのかな?と考える事になると思われます。

そして、クリック。すると、

医師たちがつくるオンライン医療辞典MEDLEY

が多くの医師の協力のもと、医療の情報を提供しています、という

基本姿勢についての説明が閲覧できます。

なるほど、と思いながらも、まだ肝心の

「症状の検索」

ページには到達できません。。。

画面を下にスクロールすると、

「詳しいサービス説明はこちら」

とクリックできそうな箇所が見つかりました。

そこを、クリック。リンク先の画面、中央に

「病名、薬名、病院名など」と書かれた空欄を発見。

早速、血尿を入力して、クリック!

結果は、

病気の検索結果 1件、薬の検索結果 40件、ニュースの検索結果 14件

と表示されます(注・2019/1/31現在)。

さて。

「血尿かも?」

と気になっている、この男性は、どこの記事に注目すればよいのでしょうか?

結論から申し上げると、画面の下の方に表示されている「ニュースの検索結果」

「尿が赤いときには身体で何が起こっているのか:

血尿の原因やミオグロビン尿などについて」

を読むのが、正解と言えます。

なぜでしょうか?

まだ、この時点で、本当に血尿なのかな?

ただの疲れかな?

そのように考えて検索している人にとっては、病名の羅列や

詳しい病気の内容の説明文というのが、最初に書かれているのは、

あまり適切ではないように思われます。

また、薬、については、

診断が確定してから、医師に投与されるものであって、

処方してもらってから、調べても遅くはありません。

従って、これら医療情報サイトに求められる、最優先の情報提供は、

(今回のように、とりえあずスマホで調べるか、という人にとっては)

そもそも、その症状は様子をみていてよいのかどうか?

について、迅速かつ、簡潔に回答を提供する事である。

そのように私は思っています。

そして、もっとも大切な事は、調べてなんとなく安心してしまい、

重大な病気の診断が遅れる事。

早期治療の機会損失となる事。

ではないでしょうか?

この点、「MEDLEY 」

では、

尿が赤い場合には怖い病気が原因となっていることがあるので

なるべく早く調べることが重要です。

もちろん治療を必要としない場合もありますが、

医療機関で詳しく調べなければその判断はできません。

*サイトより原文引用です。

 

と明記されています。そして、まずは、これで十分なのです!

だだし、何度もクリックして、サイト内をあれこれ巡回して、一通り記事を読んだ最後に

上記のメッセージに到達するというのは、多少ストレスをかけるであろうと予想され

個人的には改善の予知があると言えます。

 

このようにして、最終的に

医療機関への受診を促す行動を起こさせる事!

これこそが、医療情報提供サイトの果たすもっとも大切な役割なのです。

そこで、怖い病気ってなに?

と思われた方に、

「その分野の専門医師の解説」

の画面へ誘導する。

そして、同じサイト内で

自分の住所を入力したら、近くの医療機関や、受診時間の案内が表示される。

検索者の立場にたって、思考の流れにそって、信頼性の高い情報を提供し

行動(医療機関への受診)を提案する。

 

引き続き、いち医師としても

「MEDLEY 」には

「スマホで医療情報検索」する方々にとって、

有益となるサイト作りを目指して頂きたいと思っています。

 


続いて

「MSD マニュアル」

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/

 

*MSDマニュアル公式サイトへリンクします。

 

こちらのトップ画面では、

「プロフェッショナル版」、医師や医療従事者、医学生の皆様 と

「家庭版」、患者さんやそのご家族、介護者の皆様

の二つの入り口が用意されています。

最初の設定どおり、ここは一般成人男性として、家庭版から入ってみます。

すると、まずは

最新ピックアップ として

様々なニュース記事が表示される画面となります。

私の場合は、

「片頭痛患者が知っておきたい4つのこと-コメンタリー」

(*2019/1/31 現在)

の記事が紹介されていました。医師としては、なかなかに興味深く、

思わずクリックしたくなりましたが、

「血尿」が気になる男性という設定を思い出し、ひとまず踏みとどまりました笑

 

ふと、画面の右上をみると、

「虫眼鏡」のマークがある事に気が付きました。

そこをクリックすると、文字入力を促す空欄が表示されました。

血尿と入力し、

ようやく網羅的な情報が表示されている画面に到達しました。

そして、画面をスクロールした一番したに、

「要点」としてまとめが書かれていました。

その他に、

「原因」、「評価」、「治療」の欄も準備されており、どれも

箇条書きで、分かりやすい言葉で説明されています。

特に、「評価」の欄には、

受診のタイミング

血尿に気づいたら、1~2日以内に主治医の診察を受ける必要があります。

しかし、尿に大量の血液が混じる場合や、排尿ができない場合、

激しい痛みがある場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

と、こちらも明記されていました。

検索結果に到達するまでに、若干の手間がかかりますが、こちらも最終的に

受診を促す内容の記述が確認できました。

個人的には、最新ニュース記事には、なかなか面白そうなタイトルが

ならんでおり、特定の症状を検索しよう、という場合でなくても

医学にも興味がある一般の方にとっては、こちらを

パラパラと眺めるだけでも、勉強になるだろうな、と感じた次第です。

 


最後に、

「メディカルノート」

https://medicalnote.jp/

*メディカルノート公式サイトへリンクします。

トップ画面には、

「医師・病院と患者をつなぐ

医療検索サイト Medical Note」

各領域の専門家1660名にご協力いただいております。

と書かれています。

そして、左上には、

「病気・症状を調べる」の欄が、すぐ目に付く場所にあります。

また少し下にスクロールすると、病気の調べかたとして、

「病名から探す」、「部位から探す」、「症状から探す」などの

項目別検索の欄も準備されています。

これらは、利用者の目線から考えると、とてもよく工夫されていると

感じました。

そもそも、調べる人たちには、様々な背景があるわけです。

今まさに、「病気の診断」を受けていて、更に詳しく知りたい方。

そして、今回の設定のように

成人男性で、尿がちょっと赤く、血尿かな?と心配になっている方。

専門用語への知識のレベル、欲しい情報のレベルも、千差万別。

医療情報提供サイトは、この点を意識する必要があると言えます。

早速、症状から

「血尿」

を検索してみました。

血管、血尿に関する12件の記事が表示されました。

(*2019/1/31 現在)

そして、どの記事も、それを執筆した医師の顔写真、所属、役職

とともに紹介されている点が注目に値します。

ここでは、ふと目についた記事として、

加藤 伸樹先生の

「血尿は膀胱がんの初期症状?病気のサインを見逃さないために」

を、さらっと、読んでみる事にします。

原因や、病院で受ける検査等につき、簡潔にまとめられており、

最後の「血尿が起きたら?」の項目で、

血尿はさまざまな病気のサインです。いつもと尿の色が違う、

尿が濁っていると感じた場合には、泌尿器科を受診していただきたいと思います。

こちらのサイトでは、先の二つのサイトでは詳述のなかった、

「泌尿器科の受診」

という、より具体的な提案がなされている事にも、是非ご注目下さい。

受診という行動に向かわせ、なおかつ、では、何科?がよいのだろう?

という疑問にも答えてもらっていますね。

まずは、町のクリニックで尿検査、そしてその結果次第で、大きな病院の

泌尿器科を紹介していただく。タンパク尿も伴っている際には、腎臓内科にも

紹介していただく。このような流れが、もっとも望ましいと言えます。

 

 

 

*検査を受けて、調べないと分からない場合も多いと思われます。

 

 

 

 


医療情報の信頼性について。記事の執筆責任が明確か確認しましょう。

 

今回、ご紹介した、これらの医療情報提供サイトでは、

「血尿」

に関する記事の執筆医師について、いずれも明確に記載がされていました。

従って、これらのサイトで、症状なり、病名なりを

調べた結果は、

「信頼できる情報、知識」

と判断してよろしいかと思います。

 

特に、「メディカルノート」では、

執筆医師の顔写真や、現在の勤務先まで記載されており、

検索した情報をもとに、実際に希望する先生の診察を受けるところまで、

サービスが提供されていると言えます。

 

医療に限らず、スマホでなんでも手軽に情報が手に入る今の時代。

情報の真偽を見極める選別眼は、

とても大切になってくると言えます。

こうした訓練をするために、以下の本をおススメ致します。

 

 

フェイクニュースの見分け方

フェイクニュースの見分け方

  • 作者:烏賀陽 弘道
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2017年06月16日

 

 

 

一見もっともらしい、報道や評論には

虚偽の情報、「フェイク・ニュース」が

紛れ込んでいる、という事実を伝えながら、

これを冷静に見抜く目を養う具体的な方法について

とてもわかりやすく詳述されています。

そして、こちらで紹介されている方法論は、

ネットで「医療情報」を検索しようとする場合にも

もちろん有効と言えます。

特に、

「主語のない文章は疑え」

「事実の提示のないオピニオンは無視してよい」

という指摘は参考になります。

つまり、匿名で、誰かから聞いた話を、

さも自分が体験したかのように書かれている内容、

どこかで書いてあった事を、そのまま受け売りしている内容。

これらに注意する必要がある、という事になります。

そして、これに加えて、もう一つ。

権威ある人が言っているから、「正しい情報である」とは限らない!

という点も是非お伝えしておきたいです。

つまりは、普段は研究が中心で、実際に患者さんの診療にあたって

いない、現場業務に携わっていない医師の

「診察」、「診療」に関するコメントなどが、

これに該当します。

人は、肩書きや、権威に対して、

無批判に受け入れてしまう習性があると言えます。

ここでご紹介したサイトのように、

日常診療で、患者さんと真摯向き合っている

先生方の発信されている

「現場の医療情報」であれば信頼に足りますので

そのような目も養って欲しいと思います。

 

私も、この自分自身のサイトの運営方針で

お伝えしている通り、

実名と顔、ならびに医師としての業績も

公開しております。

 

研究業績

 

また記事執筆の際には、実際に目を通して信頼できると

判断した英語原著論文なども供覧していただけるように

配慮しています。

もちろん、記載されている内容の責任は全て

自身にあるとの覚悟のもとに運営しています。

忙しい勤務医生活の合間を縫って、

正しい知識と情報をお伝えしていきたい!

お読みいただいております、みなさんには

こうした、情熱や、エネルギーも感じて頂ければ

幸いに存じます。

 

*その医療情報の信頼性を考える時、”誰が発信しているのか?”に注目しましょう。

 

 

 

 


「症状」を”調べて納得”ではなく、医療機関への受診につなげるには?

 

もちろん、すべての気になる症状が、

医療機関で、医師の診察を受ける必要がある訳では

ありません。

「医療情報提供サイト」の記事は、

検索者に対して、いたずらに

不安を喚起するものであっては

よくないですが、

同時に、安易な経過観察を推奨するような

ものであっても具合が悪いと言えます。

このあたりのバランスには、各サイト、

おそらくいろいろ苦労があるように

推察されます。

ただ、最初の章で書きました通り、

「そもそも病気なんだろうか?」

という方の、ネットで手短に知りたいという

ニーズに答え、

 

➡検索結果に素早くアクセス出来て

➡予想される病気の可能性について、実際の臨床医の監修による分かりやすい解説があり

➡どれかに該当するかも知れない、症状が続くならば、医者に診てもらった方がよいかな?

➡近いうちに、かかりつけ医に行ってみよう。。。

 

医師としては、

こうした流れを自然作り出してくれるサイト

高く評価したいと思っています。

従いまして、今回の検証結果としては

「メディカルノート」

が、現状もっとも優れている、と判定させて頂きます。

 

※ 「メディカルノート」にいいね!を一票。

 

 

 

そして、以下の記事でもお伝えしている通り、

ちょっとした体調不良であれば、まずは町の

「かかりつけ医」を受診する事。

そういった習慣のないかたは、是非

「かかりつけ医」をお持ちいただくこと!

病院勤務医として、この点も改めて強調しておきたいと思います。

 

2019年、インフルエンザ大流行!

 

まとめ

 

今回ご紹介した、

「MEDLEY」、「MSD マニュアル」、「メディカルノート」は、

すべて「信頼できる医療情報提供サイト」と判定致します。

 

是非、ブック・マークし、なにかお困りの際に、まずは頼りにしてみて下さい。

また、これら以外でも、

インターネット上の「医療情報」を見極める際、

執筆者は匿名でないか?

根拠となるデータも示されているか?

特定の病気であれば、その医師の、ある程度診療実績が確認できるのか?

に注目してみて下さい。

そして、医者に診てもらおうかな、という際は、

なんでも相談できる、

「かかりつけ医」

を受診していただきたいです。

専門性が必要と診断されれば、適性なタイミングで

おおきな病院を紹介してもらえるはずです。

 

 

※さあスマホを閉じて、自分の症状を振り返りつつ、かかりつけ医に相談を!

 

 

 

 

 

~長い文章、おつきあいただき誠にありがとうございました~

~今回の比較検証記事を掲載するにあたり、快く了解して下さった、

各社問い合わせ窓口の担当の方にも、この場を借りて御礼申し上げます~

ありがとうございました!