今、みなさんは、この記事を立って読まれていますか?
それとも、座ってお読み下さっているでしょうか?
※長時間座ってのデスク・ワークと健康被害について知って下さい。
基本的にはリラックスしてお読み頂きたいですが、
お座りの方でいらっしゃる方には、ちょっぴり
「怖い」
記事になっていますので笑
その点よろしく、なにとぞご了承下さい。
世界いち、座っている時間が長い、日本人。。。
働き盛りの我々は、確かに一日を通して、
「座っている」時間がながいように思われますね。
車で出勤、であれば運転中は、当然「座る」事になります。
また電車でも、空いている場所を素早く探して
我先に(笑)座ろうとしているのでは
ないでしょうか?
そして、人によってはオフィスなどで、
ずっとデスク・ワークという方もいらっしゃると思われます。
そして帰宅したら、ソファに座って
スマホをいじったり、テレビを見たり。。。
このように考えると、合計すると、かなりの時間、
「座って過ごしている」
可能性があると言えます。
こうして、座って過ごす事と、身体機能の関連に関して、
予防医学の観点から、この問題の考察を試みた研究を紹介します。
座っている時間がながい、という事は
言い換えれば
「身体を積極的に動かしていない」
「活動性が低い」
と同義であり、健康寿命にとっては悪影響である事が予想されます。。。
The Descriptive Epidemiology of Sitting: A 20-Country Comparison Using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ)
Barbara E.AinsworthPhD, MPHbJames F.SallisPhDcMariaHagströmerMPH, PhDdCora L.CraigMSaeFiona C.BullPhDfMichaelPrattMD, MPHgKamaleshVenugopalPhDaJosephineChauMPHaMichaelSjöströmMD, PhDhIPS Group⁎a
この論文で比較検討された、世界中20カ国の中で
Japan reported the highest sitting times (medians ≥360 min/day).
※原著より引用です。
→日本人は 一日360分以上、つまりは6時間と世界で最もながく
「座っている」
という、残念な結果が報告されています。。。
では、
「長時間座っている事」が
どのような健康上のリスクとなるのか?
以下、少し詳しく見ていくことにします。
※電車でも、健康寿命のため、なるべく「立つ」を意識しましょう。
座り続ける事は、さまざまな疾患発症リスク!という臨床研究の結果。
まずは一つ目の臨床研究です。
Int J Behav Nutr Phys Act. 2013 Mar 4;10:30. doi: 10.1186/1479-5868-10-30.Objectively measured light-intensity lifestyle activity and sedentary time are independently associated with metabolic syndrome: a cross-sectional study of Japanese adults.
この研究では、日本人のメタボリック症候群(以下メタボ)
(内臓脂肪の増加による2型糖尿病や、動脈硬化の発症リスクが高まる病態)
と、「座っている時間の長さ」の関係についての研究結果が示されています。
そして多変量解析の結果、
座っている時間、3.5時間/日以内の対象者と比較して
5.4時間/日以上の対象者では、メタボの発症リスクは
高血圧の有無、高血糖の有無、脂質代謝異常の有無に関わらず、
実に2.3倍!との結果が得られたと報告されています。
これは、深刻な事態ですね。。。
例えば、朝9時から、午後3時ごろまで、休憩や食事を除いて
ずっと座っている「デスク・ワーカー」の方は、
午後3時以降も、座り続ける事で、合計6時間の座位時間を
超えてしまう、という計算になります。。。
そして以下の研究にも簡単に触れておきます。
Cancer Epidemiol. 2017 Aug;49:144-151. doi: 10.1016/j.canep.2017.06.004. Epub 2017 Jun 23.Sedentary work and the risks of colon and rectal cancer by anatomical sub-site in the Canadian census health and environment cohort (CanCHEC).
※タイトルのクリックで、外部サイトにリンクします。
上記のカナダでの臨床研究では、
「座り続ける姿勢での仕事」が
大腸ガン、直腸ガンの発症リスクと関係している、という報告です。
Med Sci Sports Exerc. 2010 May;42(5):879-85. doi: 10.1249/MSS.0b013e3181c3aa7e.Sedentary behaviors increase risk of cardiovascular disease mortality in men.
※タイトルのクリックで、外部サイトにリンクします。
この研究では、7744名の、年齢(20-89歳)の男性を対象に、
座り生活(こちらでは、車に座っている事、テレビを見ている事などの
行為を挙げています)が、
心臓血管イベント(心筋梗塞など)による
死亡!に関与しうる、重要な危険因子である、
と報告しています。。。
これらは、なんともショッキングな、研究結果ですね。
座っている時間が長いこと、は
健康寿命を縮める重大なリスクである、
という認識を持つようにすべきでしょうね。
※「座りすぎ」が原因で、病院の御世話にならないように。。。
30分に一度は立ち上がろう!更に、座ったままでも出来る足の運動を!
よって、日常生活の中において、
いかに「連続して座っている時間」を減らしていくか。
この事が大切になると言えます。
デスク・ワークが続く方でも、少なくとも30分に一回程度は、
立ち上がり、軽くストレッチをする、
トイレへ行くなど、イスから立ち上がる状況を意図的に
作り出す必要があると思われます。
あるいは、座ったままでも、
「ももあげ」(太もも、大腿四頭筋)のトレーニング、
や
「かかとあげ」(ふくらはぎ、腓腹筋)のトレーニング
などを、両足で、あるいは片足ずつ意識してやってみるとよいでしょう。
更に、さらに!
座り仕事の方には、履くだけでも、足指のばし、ストレッチ効果あり、
私も愛用している
「五本指靴」
の魅力を、是非多くの方に知って欲しいと思います。
詳細は以下の記事をご覧下さい笑
※タイトルのクリックで、内部記事へリンクします。
なお、今ご自身の足の筋力は適正なのか?
それを知るために、以下の資料が参考になります。
これによりますと、イスからの立ち上がり運動で、簡便に評価できるようです。
1)背筋を伸ばして椅子に座る
(2)両手は胸の前で腕組みをする
3)膝が完全に伸びるまで立ち上がる
(4)すばやく開始時の座った姿勢に戻す((1)~(4)で1回)
そして、40-49歳(40代)では、男女ともに
8〜10秒以内
が正常範囲と記載されています。
是非、お試しいただき、
座りすぎが原因で、健康寿命を損なっていないだろうか?
見つめ直して欲しいと思います。
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/dl/s0719-3c.pdf
※厚生労働書・健康づくりのための運動指針 2006へリンクします。
※ デスク・ワークの合間に、ストレッチ!!
補足ですが、最近では
「立って働く」事を積極的に導入している企業もあるようですね。
https://diamond.jp/articles/-/146122
※ダイアモンド社のサイトへリンクします。
健康にもよく、また相談する際などに、(机越しではないため)
お互いの距離が近くなる、
という点もメリットかも知れません。
病院の診察室でも、
患者さんの体調が許せば、
医師、患者さんともに、立って対面する、
というのも信頼関係構築という観点から、検討してもよいかも知れませんね。
ずっと、イスに座り続けている医師自身の健康被害、
そしてイスに座りながら、ずっと電子カルテのパソコンを見続けている
ような診察姿勢。。。
いずれも医療現場の
「働き方改革」
の問題として、検討して行きたいと考えています。
今回も、ありがとうございました。
さあ、スマホを置いて、立ち上がりましょう!
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現役医師、医学博士。二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。 ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。