便秘の改善に、和式便座が効く?!医学的な理由とは。

毎日、スッキリ快便ですか?

 

※腸元気で、超元気!!

 

 

今回は、

薬に頼らない、便秘解消法

についてお話ししたいと思います。

 

どちらかというと、

便秘に悩んでいるのは

女性が多いように思われます。

巷では、

「美容と健康のための、便秘解消」

という宣伝文句をしばしば目にします。

また

「便秘解消のための、健康食品」

を紹介している雑誌やインターネットの

記事も見かけます。

 

※便秘解消!のレシピもたくさん出回っていますね。

 

こうした視点を否定するつもりは

ありませんが。

それ以上に、

「便秘による健康寿命への悪影響」

を意識する事が、

非常に大切であると言えます。

 

医学的には、

便秘は、とても複雑な生理現象として

考えられており、

とても一筋縄ではいかないと

考えられていますが。

こちらでは、

最新の研究結果も踏まえて、

誰でも実践できる

便秘解消に効果がありそうな

とてもシンプルな

「ある方法」

をご紹介していきたいと思います。

 



 


見直される、和式便座での排便習慣

 

以前から、欧米諸国では、

defecation postural modification 

devices (DPMDs)

と呼ばれる、排便補助具の有効性が

提唱され、

徐々に普及してきているという

背景がありました。

今回これに関しまして、

医学的エビデンス

と呼べる研究結果が

報告されましたので、

こちらを紹介しながら、

「和式便所」の

便秘解消効果について

見ていきたいと思います。

 

J Clin Gastroenterol. 2019 Mar;53(3):216-219. doi: 10.1097/MCG.0000000000001143.

Implementation of a Defecation Posture Modification Device: Impact on Bowel Movement Patterns in Healthy Subjects.

Modi RM1, Hinton A2, Pinkhas D1, Groce R3, Meyer MM3, Balasubramanian G3, Levine E3, Stanich PP3.
※クリックでpubmedのサイトへリンクします。

DPMDsとは、便座に座り足台に足を

乗せることで、スクワット・ポジション

(しゃがんだ姿勢)に

なるように設計された、いわゆる

足載せ台です。

研究結果の一部をお伝えすると、

DPMDsを使用した場合、

使用しなかった場合に比べて、

●残便感のない排便感覚の増加

(オッズ比3.64倍、統計学的有意差あり)

●排便時の、”いきみ”の減少

(オッズ比0.23倍、統計学的有意差あり)

●排便時間の延長

(オッズ比1.25倍、統計学的有意差あり)

と示されています。

 

医学統計の詳細な説明は控えますが、

簡単にまとめれば、

この足載せ台を使う事で

●より楽に(りきまずに)、

●より長い時間(たくさんの量が出る笑?)

●より排便後のスッキリ感が得られる!

とご理解いただいて結構です。

 

どうやら便秘解消には、

副作用が心配な薬剤を飲み続けたり、

高価な装置を準備したりする

必要はなさそうです。

 

ただ、足を載せて(足をより開脚させて)

排便するだけ。

実に、シンプルな方法による

「便秘解消効果」

が医学的にもお墨付きをもらえた、

という素晴らしいニュースですね。

 

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さて、

気になるこの足台ですが。

要するに、

足を開き気味で、排便するだけ

という解決方法です。

 

足台を使って、

その状態を実現する

これは、

便座に座って排便するのが

一般的な

欧米人の発想なのです。

我々日本人は、

古くは、奈良時代から

排便は「しゃがんでする」

という世界に誇れる?生活習慣が

ありましたよね。

今でも、

和式便所

をお使いのご家庭もあるかと思います。

 

※今、その価値を見直したい、忘れられつつある和式便座!

 

トイレの事を、

「厠:かわや」と呼んだり、

「雪隠:せっちん」と呼んだり

する事を聞かれた事があるかと思われます。

蛇足ですが、

かわや、の語源は、

日本最古の歴史書、

古事記(こじき)に、

川のうえに、便所として設けられていた

場所を、川屋(かわや)と呼んでいた

という説が有力とされているようです。

本題に戻りますと、

便座に座る、という

生活スタイルの欧米化が、

便秘を招いた可能性があるわけですね。

こうした研究で、

「和式便所」

便秘解消便所として、

世界から熱い視線を浴びるかも知れませんね。

 

 

*ライフスタイルの西洋化が、便秘の一因かも・・・




なぜ、和式便座、が便秘に効果的なのか?

 

 

※クリックで拡大します。

※禁 無断転載

 

続きまして。

なぜ、

「しゃがんで排便」

に便秘解消に効果的なのか?

医学的に解説いたします。

 

このことについて理解を助けるために、

上のような図を作ってみました。

我々の腸は、医学用語を用いますと、

最終的にS状結腸から、直腸にかけて

屈曲して、肛門へと向かう構造になっています。

そして、この部位は

恥骨腸骨筋と呼ばれる筋肉によって

支えれらています。

普段、椅子に座る姿勢や、

様式の便座に座る、いわゆる

「座位」

ですと、

この恥骨腸骨筋の働きによって、

直腸は身体の全面に牽引され、

結果として、この

「曲がり角」

の部分、医学名では

「直腸肛門角」

がほぼ直角!になってしまう事が

分かっています。

確かに、これでは、ここまで無事到達し

あとは排便を待つ便も、

通過が困難になるでしょうね。

特に固い便ですと、余計に通過しずらい、

そのように考えられます。

 

対して、和式便座。

つまりは、しゃがむ姿勢、では

この

「直腸肛門角」

の角度が緩やかになるため、

便が通過しやすくなる。

そのように解説できます。

*Medical Tribune Vol.52, No4の記事を参考に

独自に作図し解説を工夫しました。

 

そしてしゃがむ形で排便する事については、

以下の本でも、そのメリットに関して

同じ説明がなされています。

 

 

おしゃべりな腸

おしゃべりな腸

  • 作者:ジュリア・エンダース/岡本朋子
  • 出版社:サンマーク出版
  • 発売日: 2015年05月

 

 

*どうしても便が出ない時、そっと、しゃがんでみましょう。

 



 


排便のために、力む事の危険性。。。
便秘は、心血管の病気、死亡のリスク?!

 

続いて、便秘にまつわる、ちょっと怖い話を致します。

痔や便秘、また憩室症といった腸の病気は、便座に座って

排便することを習慣にしている国以外では

めったに見られません。

特に若い人にそうした症状が現れた場合、

原因は組織が弱いからではありません。

腸にかかる圧力が強すぎるからなのです。

自分では気づいていなくても、

ストレスを感じると一日中お腹に

力を入れている人もいます。

腸が内側の圧力を外部に逃がそうとすると

痔になります。圧力のせいで腸壁の一部が

外側に向かって飛び出し、

小さな電球のような形に膨らんでいるところが

いわゆる

「憩室」です。

~中略~

トイレでりきむと、静脈瘤や脳卒中発作の

リスクが高まることも

医学的に証明されています。

それどころか排便中に

意識を失うことも

あります。

 

※おしゃべりな腸・ジュリア・エンダース(著)より引用です。

 

※参考文献

Acta Physiol (Oxf). 2016 Jun;217(2):103-19. doi: 10.1111/apha.12639. Epub 2016 Jan 5.

The Valsalva manoeuvre: physiology and clinical examples.

Pstras L1, Thomaseth K2, Waniewski J1, Balzani I3, Bellavere F4.
※クリックでpubmedのサイトへリンクします。

 

また。

更に恐ろしい事に、

慢性の便秘は、

心血管イベント(心筋梗塞や致死的な不整脈など)

の発症リスクを高める、という

臨床研究の結果もあります。。。

Atherosclerosis. 2018 Dec 23;281:114-120. doi: 10.1016/j.atherosclerosis.2018.12.021. [Epub ahead of print]

Constipation and risk of death and cardiovascular events.

Sumida K1, Molnar MZ2, Potukuchi PK3, Thomas F4, Lu JL3, Yamagata K5, Kalantar-Zadeh K6, Kovesdy CP7.

※クリックでpubmedのサイトへリンクします。

 

最近の研究で

便秘は、

単に便が何日も出ていない、

という問題にとどまらず、

自律神経のバランスの乱れや、

腸内フローラ(腸内細菌を含めた、腸内の環境)

の異常。。。

これらを反映している、

「全身の不調」

と捉えられるように

なってきています。

※腸内フローラについては、こちらも参照下さい。

今話題の腸活。自宅で、「腸内フローラ」検査をやってみた!

 

日常生活で、

ストレスが多く、

常に緊張状態である。。。

あるいは、睡眠不足である。

食事が不規則であったり

加工食品が中心で

新鮮な野菜などの繊維質をあまり摂らない。

その結果としての、

「便秘」

という訳です。

そして、排便の際に

刺激の強い下剤や座薬を使ったり、

力んだり、

する事で、

血圧が上がったり、

(交感)神経が興奮状態となり

心臓の血管に異常をきたす。

こうした悪循環は

最悪の場合は、死亡につながる事さえ

あると言えます。

 

 

※便秘は、重大な健康被害を引き起こす

危険な病状です。。。

 



 

 

 

最後になりますが。

私の外来に通院されている、

あるご高齢の便秘に悩む女性に、

この

「和式便所方式」

を提案したところ。

一か月ぐらい経過した再診時に

下剤の量を減らせて、

すっきり出るようになりました、

と感謝された経験があります。

もちろん効果には個人差はありそうですが、

是非一度

お試しいただくとよいかと思われます。

 

便秘解消に向けての、ワクワク・メッセージ!

 

※洋式便座をお使いで、

便秘にお悩みの方へ。

足台を使って、足をひらいて座ってみましょう!

※裏技としては、

洋式便座の座るU字の部分に、

両足を載せる、

という方法もアリでしょう!

(やや恥ずかしい姿勢になりますが、

基本、誰も見ていないはずですよね笑)

ただし、足の力が弱っている方には

おすすめしません。

加えて、便座から降りるときに、

くれぐぐれもご注意を。


石川英昭(いしかわひであき)

管理者・石川 英昭


現役医師、医学博士、二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。
ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。

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