現役勤務医が危惧する「新型コロナ院内感染」の報道。。。

首都東京、緊急事態宣言?!から
考える近未来の医療現場の様相。。。

 

本日、

あるニュース報道で、

「新型コロナ院内感染か?」

という見出しで、

ある病院がテレビ取材を

受けているのを、

ふと目にしました。

 

Image by Tumisu from Pixabay 

 

 

 

またその番組内では、

病院の対応について

どうですか?

というような雰囲気で

診察に訪れた患者さんに

マイクを向けていました。

 

そして、

その回答が

「もう少し早く報せて欲しかった」

(受診するか考えたいから)

と言った内容でした。。。

 

確かに

病院に診察にいらっしゃる

患者さんとしては、

そういう思いになるのでしょうね。

 

ただ現役勤務医である私は、

とても

やるせない気持ち。。。

になりましたので、

今回はこの事について、

近未来の医療現場予測も踏まえて

真正面から書いてみよう!

と決心した次第です。

 

 

Image by Tumisu from Pixabay 

 

当サイトは、

おもに、わたしと同じ世代の

40代の働き盛りのお父さん達へ、

自身のためにも、大切な家族のためにも

「健康寿命増進!」を意識して、

日々行動して頂きたい、

そのような思いで運営しております。

 

また現役勤務医、医学博士として

病気に罹らないための

「予防医学的取り組み」

 

インフルエンザ大流行!の前に予防や対策について知ろう!

 

あるいはたとえ病気になっても、

くじけない心で、

ふたたび前を向いて進んでいく、

そんな心身のありようについても

語ってきたつもりです。

 

「レジリエンス;回復力」は、健康長寿の秘訣

 

 

つまりは、

「医療現場の状況そのもの」

を赤裸々にお伝えする

という事はなるべく

遠慮してきたつもりです。

 

 

しかし、ご存じの通り

2020年3月現在、

世界中が「新型コロナウイルス感染」の

猛威にされされており、

いつ自分が、

あるいは大切な人達が

感染に見舞われ、

命の危機にさらされるのではないか?

 

もはや予断を許さない状況にある。。。

 

わたし自身も

現役病院勤務医として、

おそらく一般の方々以上に

あるいは、

世間のマスコミ報道から

伝わる雰囲気以上に、

強い危機感、焦燥感を抱いております。

 

 

Photo by Alvin Leopold on Unsplash 

※日本でも医療崩壊の危機が迫っています。。。

 

そうでなくても、

普段から多忙で、神経をすり減らす

毎日にあって、

今回の「新型コロナ感染」は、

そんな

「ギリギリで頑張る」

医療スタッフ達を、

更に追い詰める事態を

引き起こしています。。。

 

それでも、

我々医療従事者は、

自身が

コロナウイルス感染や、

インフルエンザウイルス感染に

罹って、

それを

「患者さんにうつさないように」

「感染を拡大させないように」

という職業的責任感、

使命感、倫理観をもって

診療に全力を尽くしています。

 

当然ながら

「私たち自身が感染する」

というリスクと隣り合わせに。。。

 

しかし、

当然ながら

特に地域の中核病院

呼ばれる医療機関には、

「新型コロナ感染」

疑いの方以外にも、

交通事故などの重症の外傷や

ガンなどの手術を控えている方

心筋梗塞や脳梗塞などで、

救急搬送される方、、、

こうした、

非常にマンパワーが必要な

多くの患者さんへの

懇切丁寧な対応、高い水準の医療を

昼夜を問わず、

提供する義務があるわけです。

 

 

 

 

 

こうした

診療業務以外にも、

中核病院内には

「感染対策」を専門とする

部署があり、

定期的に会議を開いたり、

病室や手術室、

集中治療室を

定期的に巡回し

スタッフ指導や教育も

やっている訳です。

 

おそらく

院内感染が報道された

病院でも、

標準的な院内感染対策は、

充分に講じていたように

思われます。

 

では、なぜ

必死の感染対策活動でも

新型コロナ感染が

院内で拡大するのでしょうか?

 

そして、こうした現象は

今後全国の病院で、

どうなっていくのでしょうか??

 

わたしの中核病院の

「近未来予想」は、

残念ながら、

やや悲観的です。。。

(もちろん、そうならいよう

切に祈っていますが。。。)

 

理由としては、

以下のようなケースが

想定されるからです。

 

ある60代の男性が

腰のヘルニアの

予定手術のために

入院する事になりました。

 

入院前に外来医師から

手術の方法や

入院期間などを聞いており、

決められた入院日に、

ある病棟の、

四人部屋(一部屋にカーテンなどで

間仕切りされたベット、テレビなどが

備え付けられた個人スペースが

四区画ある部屋)へ

案内されました。

 

 

acworksさんによる写真ACからの写真  

 

部屋に着いて、

荷物を下ろしますと、

ほどなくして、

担当看護師さんが

挨拶に来ました。

 

名前や住所などの連絡先の確認、

医師からの入院治療計画書などを

受け取りつつ、

体温、血圧や脈拍など、

簡単な体調チェックを受けました。

自分としては、

少しだるいかな?と

自覚しつつも、

体温も正常だし、

ちょっと疲れているんだろう。。。

ぐらいに考えており、

「倦怠感」について

詳しくは、

その看護師さんに伝える事は

しませんでした。

 

その翌日、

腰の手術は無事に行われました。

 

Photo by National Cancer Institute on Unsplash 

 

 

問題がなければ

数日の経過観察を経て

退院、という段取りでしたが、

手術の二日後ぐらいから

発熱と、咳が出るようになり、

時間がたつにつれ、

呼吸も苦しく感じるほどに

なってきました。

 

手術の場合、

一般的には

まずは創部(手術の傷口)

からの細菌の侵入による

感染を疑いますが、

「激しい咳」と発熱が見られるため、

「肺炎」が疑われ、

胸のレントゲン撮影が行われました。

 

そして、同時に

入院してから(手術の期間も含めて)

の急激な肺炎の状況であり、

「新型コロナ肺炎」の可能性も考え

PCR検査を実施したところ、

なんと「陽性」の結果が得られてしましいました。。。

 

その後、

みるみるうちに

「肺炎が悪化し」

人工呼吸器が必要な

極めて重篤な事態に陥り、

集中治療室へ移送となりました。。。

 

 

経過をまとめますと

予定入院で、

普通に歩いてこられた方が、

まさかの

「新型コロナウイルス感染」

に罹患しており、

急速に「重症な肺炎に進展した・・・」

というストーリーです。

 

この方は、

入院前に、

本人も自覚しないままに感染し、

潜伏期間であった訳です。

不幸にも入院中に

「発症した」ために、

同じ病室内の患者さんは

もちろん、

担当の看護師、医師、

手術室のスタッフなど含めて

実に多くの医療従事者が

「濃厚接触」

に該当し、これらの方々が

時間差で発症する事で、

「院内感染の波及」という

事態が惹起されます。

 

これは、

わたしが聞いた

ある病院の事例を参考に

架空の登場人物、病院を舞台に

想像した創作ではありますが、

いつ何時、

こうした事例が、

中核病院で起きても

決して不思議ではありません。。。

 

従いまして。

病院を受診される方の

「なるべく早く報せて欲しかった」

というのは、

ごもっともですが、

どんなに院内感染対策を徹底しても

場合によっては、

非常に困難である。。。

という事をお分かり頂きたいです。

 

 

入院してくる方、

全員に対して

「PCR検査」

を実施するのは

現実的に不可能です。

 

Image by Belova59 from Pixabay 

 

またもし検査出来としても、

検査陽性の方全員に

2週間程度の隔離するための

空きベットを準備し、

経過観察する医師を

満遍なく配置するのも

事実上不可能と言えます。。。

 

たとえ、

軽症と思われても、

数日以内で、

急激に悪化するという

経過予想は、

われわれ現場医師にとっても

非常に脅威であり、

たとえ最善を尽くしても、

救命困難な場合もある。

この事実は、

声を大にして

お伝えしておきたい。

そのように思います。

 

Photo by CDC on Unsplash 

※重症化の予想が困難な「新型コロナ感染」・・・

 

 

従いまして、

ニュース報道で

しばしば聞かれる

「軽症は診療所などで対応してもらい、

重症だけ中核・大規模病院で」

という提案を聞くに付け、

その区別は、

まだ病気の全容も

はっきりしない

「新型コロナ感染」では、

そんなに簡単ではないだろう。。。

と呟かずには

いられません。。。

 

また一連の

「コロナウイルス院内感染」

の報道では、ほとんどの場合

「病院の実名」

が公表されていますよね。

 

患者さんにとっては、

「受診を控えようかな・・・」

という判断基準としては

有用と思われますが。

 

その病院自体が

「感染拡大の責任がある」

といった雰囲気や、

「病院スタッフが感染源になる!」

と白眼視される事態に

繋がっていくだろうなと

懸念しています。

(もうすでにそうなっている

ように思われますが。。。)

 

Image by mohamed Hassan from Pixabay 

※医療スタッフへの「風評被害」の拡大が心配です。。

 

 

加えて、

「新型コロナ院内感染」

の病院は救急患者や

入院患者の受け入れを

制限する措置を取らざるを

得ないため、

当然ながら

近隣の病院の

診療業務負担が激増します。。。

 

やがて、

それらの病院の

医療スタッフが、

「疲労困憊し」

通常の診療業務事態に

重大なミスが起きたり、

「新型コロナ院内感染」が起きたり。。。

 

※中核病院の医師は非常に「疲弊」しています。。。

 

こうした

「負の連鎖」が、

そう遠くない未来に

起こるのではないか?

 

わたしは、

現役の病院勤務医として

こうした強い危機感を

抱いています。。。。

 

各自が

引き続き、

「不要不急の外出を控える」

「手洗いを徹底する」

などの対策を続ける事はもちろん、

こうした

「病院スタッフの必死の努力」

に少しでも思いを致して欲しい。

「医療崩壊」

がいつ起きてもおかしくはない。

 

※ヨーロッパでは

すでに医療スタッフの感染拡大で、

医療体勢は破綻の危機

※クリックで外部サイトへリンクします。

という報道があります。

 

これらについて、

是非考えて頂きたいと思っています。

 

今回は、

非常に重いテーマとなり

恐縮です。

 

最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございました。

 

◆関連記事もどうぞ。

コロナ感染拡大で、「病院受診を控える」に潜むリスクとは?

 

 


石川英昭(いしかわひであき)

管理者・石川 英昭


現役医師、医学博士。二児の父。徳川幕府・直参旗本石川家末裔。
ワクワクする毎日を送る事が、健康寿命に効く!との信念からマインドセット、食事、生活スタイルについて、分かりやすい情報発信を心がけています。

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